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エニアグラム タイプ7:セクシャル(SX7)

2025年3月24日月曜日

SX エニアグラム サブタイプ タイプ7 生得本能

エニアグラム・生得本能(本能のサブタイプ)サブタイプ別の詳細な特徴、海外書籍情報の翻訳・まとめ

タイプ7:セクシャル(SX7)の詳細

生得本能・セクシャルにおけるタイプ7の「暴食」

タイプ7の情報である「暴食」と生得本能セクシャルが融合すると、SX7というタイプが生まれます。SX7は、常に「可能性の世界」に生きており、接するアイデアや計画、さらには他の人々の考えや影響に強く引き寄せられ、自分の考えや行動をそれらと一体化させようとします。彼らは、日常を超えた高揚感を求め、理想化された希望や無限の可能性に満ちた世界を追い求めます。このため、他者の意見や状況に流されやすく、簡単に影響を受けてしまうことが特徴です。SX7の人々は、絶え間ない刺激を求め、常に幸福感を感じていないと落ち着きません。そのため、計画や決定を次々と変更し、内面的な衝動に従って行動しがちです。彼らは現実よりも理想的で素晴らしいものを追い求めることで、暴食の特徴を表現します。

イチャーソは、SX7を「暗示にかかりやすい人」と呼びました。イチャーソによると、SX7の人々は「可能性に満ちた世界」に生きており、知的なパートナーの影響を受けやすく、時にはその人に操られることもあります。彼らは、知識や知恵を持つ他者に流されやすい性質を持っているのです。また、彼らには「夢想的」な傾向があり、現実の痛みを避けるために物事を理想的に美化し、空想的に捉えて心理的な苦しみを和らげようとします。この「夢想的」という特徴は、現実から逃れようとする傾向を指しています。ナランホは、SX7の人々が、焦燥感と情熱の入り混じる「せっかちで激しい情熱」を持ち、欲しいものを熱心に追い求めると述べています。しかし、彼らの心には「平穏」や「信頼」、そして「人生をありのまま受け入れる感覚」が欠けており、その不足が彼らの焦りや追い求める力を一層激しくします。

特性の構造

Naranjo, C. (2018). "La pereza psicoespiritual" (Translated by star_shine)

以下の「特性の構造」は、タイプ7に関する書籍『Golosos, tramposos, soñadores y charlatanes(食いしん坊、詐欺師、夢想家、そしてペテン師)』の記述を要約したものです。この書籍は、クラウディオ・ナランホの熱心な弟子たちによって執筆されましたが、ナランホの名義で出版され、彼の監修を受けています。

おしゃべり

SX7は、表面的で軽快な話し方が特徴です。非常に多く話し、他のタイプ7のサブタイプよりもさらによく話します。言葉を使って常に空間を支配し、少しも沈黙の瞬間がないようにしたがります。話し続けることに非常に強い衝動を持っており、その会話は表面的で、話題が散漫になりやすく、深い掘り下げができません。

SX7の会話は、抑えきれない言葉の流れと、思考の速さや精神的な高揚感が組み合わさることで、言葉の洪水のようになります。新しいアイデアが次々と湧き出し、話は止まることなく続いていきます。その結果、浅い話題が次々に繰り返され、最終的には聞き手は圧倒されてしまい、負担に感じてしまいます

SX7が話し続ける根本的な理由は、不安を和らげ、内面的な空虚さや対人関係の沈黙を言葉で埋めるためです。また、話すこと自体が彼らにとっては自分や他者の感情をコントロールする手段でもあります。SX7にとって大切なのは、話の内容そのものではなく、「話す」という行為そのものです。これは、会話を続けるために言葉を使うことが主目的となっている状態です。つまり、純粋な言葉の氾濫であり、時には自分の言葉すら意識していないこともあります。そのため、もし「今話したことを繰り返してください」と言われても、うまく答えられないことがあります。

誇大で大げさ

彼らは、自分の重要性を過大に思い込み、自分の人生が特別なものであるかのように考え、壮大な夢を抱く傾向があります。そのため、達成不可能なほど大きな計画を立てることがよくあります。しかし、この誇張された言動や大げさな振る舞いの裏には、他者の注目や承認を求める深い欲求が隠れています。実際、彼らは自分を賞賛されることと自己愛を育むことを混同し、自己価値を「他者がどれだけ自分に魅了されるか」で測ってしまいます

この自己陶酔的な誇大表現は、彼らが抱える内面的な孤独感や無価値感、不安、罪悪感を補おうとする試みであるこらとが多いですが、本人はそれに気づいていないことがほとんどです。最終的に、彼らは他者の承認を通じて自分を安心させ、自己陶酔に浸ることで心のバランスを取っています。そのため、彼らが「人を惹きつける幻想的な存在」と呼ばれるのも納得できることです。

自己顕示

ここでの「自己顕示」とは、SX7が持つ、常に周囲の注目を集める特有の方法を指します。派手な色使いの服装を好み、時には羽飾りや異国風のアクセサリーを身につけることもあり、一般的に控えめとは言えません。その外見やスタイルは、目立つことを目的としたものです。

さらに、彼らの動きや話し方にも強い自己アピールのエネルギーが感じられます。まるで孔雀のように、自分を華やかに見せようとしますが、そこには一般的な優雅さとは少し異なる独特の美的感覚があります。むしろ、それは大道芸人や道化師のように、派手で目を引くスタイルに近いものです。

侵入的

SX7は、言葉が止まらず自己表現欲求が強いため、他人の領域に踏み込んでしまうことがあります。彼らは言葉や身振りを使い、相手の心理的な空間だけでなく、物理的な距離にも踏み込んできます。彼らの話し方は、会話の流れを自分のペースに引き寄せようとする特徴があります。話題を意図的にそらしたり、気を散らす新しい話題を持ち出したり、場の雰囲気を変える冗談を言ったりします。文脈に関係ない軽薄な発言を突然口にすることもあります。また、会話を途中で遮ることが多く、時には直接割り込むこともあれば、横からささやくように話に介入することもあります。さらに、興味がない会話や、自分が注目されていない場では、わざと話の進行を妨げて、場の雰囲気を壊そうとします。

また、招待されていないパーティーに勝手に忍び込んだり、予告なしに現れたり、本来得るべきでない席や特権を勝手に得たりすることもあります。そして、一度注目を集めることができると、自分が中心にいる状態をすぐには譲らず、ずっとその場所を自分のものにしたがります。彼らにとって、人々の関心を引き続き集めることが、自己愛を満たすために欠かせないものなのです。

無礼と厚かましさ

彼らは自由奔放で厚かましく、ときに無礼と紙一重の振る舞いをします。権力者にも臆せず接近し、まるで対等であるかのように大胆に挑むことができます。その態度は不敬とも取れるほどです。彼らのアプローチは非常に直接的で自信に満ちており、ジョークや巧妙な言い回しを交えながら、相手の反感を和らげようとします。どんな場面でも、自分の無礼さによる衝突を最小限に抑えるように振る舞うのです。

しかし、表面的な親しみやユーモアの裏には、辛辣で痛烈な言葉が隠れています。彼らは皮肉を使って競争心や軽蔑を隠し、攻撃的な態度で議論を巧みに進め、相手を打ち負かすような言葉で嘲笑します。彼らの無礼な振る舞いは、抑えきれない欲望から生まれ、衝動的に自分の望むものへと突き進む性質によるものです。これは、彼らの反抗心や規則や束縛を気にしない様子を強調するための手段でもあります。彼らの行動は、相手を動揺させて不安定にし、自分に注目を集めることを目的としています。その場の状況や相手の影響力をどう感じるかによって、彼らは二つの戦略を使い分けます。一つは、間接的に仕掛ける「ゲリラ戦」のような隠れた反抗であり、もう一つは、狙い撃ちするような「スナイパー型」の直接攻撃です。例えば、会議や集まりでは、突然スピーカーを遮り、誰も理解できないような鋭く突飛な質問を投げかけることがあります。話題にあまり興味がなくても、彼らは言葉を巧みに使い、自己アピールをして目立とうとするのです。

SX7の厚かましさは、彼ら自身こそが最も欠けている倫理観や誠実さを、他人に教えようとするほど極端です。理想主義的な立場からアドバイスをしたり、「正しい生き方」について道徳的に語ったりすることも珍しくありません。ここで注目すべきなのは、タイプ7がタイプ1の持つ「道徳的な正しさ」や「厳格さ」、「完璧を追求する姿勢」の影響を強く受けている点です。説教師グルーチョ・マルクスの言葉:「人生の秘訣は正直さとフェアプレーです。それさえうまく装えれば、あなたは成功したも同然です」

無自覚な道化

彼らは社会的な場にすんなりと入り込みます。その理由の一つは、自分が滑稽に見えることをあまり気にしない性格と、自分自身を誇張して笑いの対象にする大胆さにあります。特に、自分をネタにして笑いを取ることが得意です。恥じらいがほとんどなく、自分の欠点や短所を面白おかしく語ることで、それらの深刻さを和らげようとします。彼らは、自分の人生をパロディ化することに長けているのです。

SX7は、まるで冗談を言う以外の方法で場にいることができないかのような人です。どんな場面でもユーモアで切り抜けようとするため、最初は心地よく感じられるその軽妙さも、次第に鼻につくようになります。ユーモアを過剰に使うことで、時として無遠慮で厚かましくなり、場の空気を読まずに不適切な態度をとることが多くなります。

自己中心的

他者が自分に魅力を感じることを通して自分を評価し、それをきっかけに「自分は他人より優れている」と感じます。こうした態度は攻撃的で高慢なものです。賞賛が増すほど、彼らはその自信をさらに膨らませ、「自分は特別で、唯一無二の存在であり、他者より優れている」という信念を強化していきます。

彼らは極度に自己中心的であり、常に注目の的でいたいと願っています。そのため、他者の価値を認めることなく、他者をただの「自分に賞賛を与える存在」としてしか見ません。彼らにとって周囲の人々は、ただ黙って自分を称賛し、関心を向けることで、自己愛を満たしてくれる「観客」に過ぎないのです。

魔法のような思考をする夢想家

彼らは、神秘主義や超心理学、または異国的な宗教に強い興味を持ち、しばしばそれらを実践し、ニューエイジ的な精神性(自己成長や宇宙意識などに焦点を当てた現代的な精神運動)を際立たせる雰囲気を持っています。また、健康的なライフスタイルを実践したり、人目を引く活動を行ったりして、「自分は精神的に成熟している」と周囲にアピールします

しかし、結局のところ、彼らはただの夢想家です。自分が作り上げた幻想の世界に浸り、現実とのつながりが薄く、目の前の問題にも無頓着で、現実逃避に陥りがちです。

疑似的な共感を持つ人物

彼らは他者に共感する能力を欠いているわけではなく、親切で人間味があり、時には感情豊かに振る舞うこともあります。しかし、他者に対して真摯な関心を持って交流することが極めて難しく、表面的な共感にとどまってしまいます。特に、彼らに好意を寄せる人々に対しては、強い感情的な断絶を感じています。彼ら自身はそのことに気づいていないことが多いですが、これが彼らにとって最も根深い問題の一つです。結果として、彼らは孤独感や疎外感を抱くようになります。他者と深いつながりを築くのではなく、「自分がどう見られているか」という自己イメージを通じて関係を持とうとするからです。また、彼らは自分の能力や成功に対して誇りを感じることもありますが、心の奥底では「本当の成果は何もない」と感じており、自己欺瞞による不安や脆さを抱えて生きています。

利己的

すべてのサブタイプのタイプ7と同様に、SX7もまた、利己的だと見なされることがあります。彼らにとって最優先なのは自分の欲望を満たすことであり、他のことは後回しになります。彼らの視界には他者の存在はなく、ただ自分だけを見ているのです。そして、言うまでもないことですが、彼らは「幸せでいるためには誰の助けも不要だし、人生の浮き沈みも自分ひとりで乗り越えられる」と信じています。欲望を追い求める執着という意味では、SP7ほどではありませんが、それでもSX7は自分の欲望に支配されており、手に入れたいものがあるときには一切ためらいません。欲しいものを手に入れるためには、どんな手段を使っても後悔しません。まるで、どうしてもお菓子を手に入れたくて、フラストレーションを抑えきれずにどんな方法でも使う子供のようです。

詐欺的

自己放縦(自分を甘やかすことや欲望に任せること)は、詐欺的な行動を正当化する方法として働きます。SX7は、自分にも他人にも、どんな嘘でも話し、最もあり得ない言い訳を使って自分の疑わしい行動を正当化します。彼らの世界は、虚構と楽しさ、そして終わりのない笑いで満ちています。このような生き方をすることで、自分の欲求をいつでも実現できるようになります。SP7とは違い、彼らは自分の作り話を本当に信じ込んでしまうことが多いです。自己暗示によって、嘘を真実だと思い込んでしまうことがあります。

感情が爆発しやすく、過敏な性質

SX7は理知的な性格を持ちながら、内面的には感情を抑え込んでいる傾向があります。そのため、日常生活の中で感情を爆発させることがよくあります。この暴発の瞬間には理性が働かなくなり、まるで構ってもらえない子供のように振る舞います

この性質は、タイプ7に共通する過敏性とも関係しています。彼らは自己重要性を非常に高く認識しているため、些細なことでも深く傷つきやすいです。SX7の場合、この感受性が過敏さにまで達し、不安や動揺を引き起こすことがあります。

アンチ・ヒエラルキーな逃避者

彼らは、職場で明確な上下関係を避けて、部下や上司とも対等な関係を築こうとします。これは、公的な上下関係を曖昧にし、同僚同士のような親しみやすい関係や、暗黙の共犯関係を作り出します。表面的には、仲間意識や信頼があるように見えますが、実際には、この関係性は責任回避を助長するものとなることが多いです。SX7の管理スタイルは一見すると寛容で、誰もが自由に発言し、好きなように行動することを許します。しかし、実際には業務の責任を多く部下に委ね、最終的には自分の仕事を後回しにしたり、同僚に過度に依存したりする傾向があります。こうした態度は、時間が経つにつれて彼ら自身にとって不味い状況を招くことが多いです。このパターンは、仕事の場面に限らず、プライベートな関係にも表れます。彼らは責任を回避し、表面上は親しい関係を築こうとしますが、実際にはそのために問題を先延ばしにしたり、周囲の人々に頼りすぎたりすることになります。

夢想家

彼らは責任から逃れるだけでなく、注意力散漫で、現実に根ざした思考が苦手なタイプです。日常生活における実務的なことを整理したり、計画的に物事を進めたりするのが苦手です。そのため、周囲からはどこか風変わりな人、現実離れした人として見られがちです。彼らが何を考えているのか、また、人生で何を大切にしているのか、はっきりとはわかりません。ただ一つ確かなのは、彼らの思考が現実の世界とはかけ離れているということです。

子供じみた楽観主義

彼らは楽観的でエネルギッシュで、そして楽しい人物です――少なくとも表面的には。「エニアグラム界の道化師」と呼ばれる彼らは、その場のどんな状況でもユーモアを見つけてジョークに変える点では、卓越した能力を持っています。実際、偉大なコメディアンの多くは、SX7です。楽観主義とユーモアは、単に状況の面白い側面を引き出すだけでなく、SX7の陽気な精神、活力、そして喜びそのものを支える大切な要素です。楽観的な無邪気さは、SX7が人生の摩擦を感じることなくスムーズに進んでいくための潤滑油となっています。SX7は、まだ幼少期における「何にでも笑う」段階を抜けていません。彼らには、人生の困難を予見する力が欠けており、周囲の表情や刺激に対しても、ただ笑顔を返すだけです。生きることへの希望と喜びが非常に強い彼らは、無邪気に、心から笑うことしかできません。

せっかちで、衝動的で、欲求不満に耐えられない

彼ら自身は多くのことを先読みし、理性で行動しているつもりでいますが。実際には衝動に流されやすいです。SX7は、欲求不満に対する耐性が低く、現実の流れに追いつこうと必死です。まるで気まぐれな子供のように、「欲しい!」と思ったらすぐに手に入れたくなります。

彼らは常に動き続けます。落ち着くことが苦手なのです。身体的にも精神的にも、次々と場所を変えて、ひと時もじっとしていられません。普段は神経質ながらも一見すると静かにしているように見えることもありますが、実際には体を絶えず動かしています。じっと座っているのが非常に難しいのです。また、考えや意見もコロコロ変わり、内面の状態も流動的です。身体の動きは、ジグザグで鋭く、せわしなく、じっとしていることが極端に苦手です。そのため、仕事や住居、パートナーすらも頻繁に変えることがあります。こうした絶え間ない動きは、内面の不快感に直面するのを避けるためのメカニズムです。もし立ち止まれば、不快な感情と向き合わなければならなくなるからです。まるで、人生の不快感の波をサーフィンするかのように、彼らは状況を軽やかにすり抜けていきます。

せっかちで常に動き続ける背景には、「何ひとつ逃したくない」「すべてを手に入れたい」という強い願望があります。SX7は、もし立ち止まれば、世界という大市場に広がる素晴らしい可能性を逃してしまうと考えます。また、新しいものに触れたときのワクワク感を失いたくないという思いが強く、同じ状態が続く停滞を極端に嫌います。彼らにとって、安定した環境はしばしば退屈で耐えがたいものです。

心気症

心気症とは、重い病気にかかっているのではないかと不安になるあまり、日常生活に支障をきたす状態のことです。SX7は、苦しみや痛みを避け、抑え込もうとするあまり、どんな小さな身体的不調にも過敏に反応してしまい、それが次第に絶え間ない不安へと変わります。SX7は、自分を守ってくれるはずの大人たちから十分なケアを受けられず、自分の感情をしっかり聞いてもらった経験が乏しかったため、「見捨てられた」という感覚を持っています

さらに、母親の悲しみを和らげるために、道化師のような役割を果たしてきた彼らは、その結果、自分自身の悲しみを隠さざるを得ませんでした。この十分なケアが得られなかった経験と、死そのものへの根源的な恐怖が、どんな小さな身体の不調にも反応して、漠然とした不安状態に陥らせ、それが心気症に発展する場合があります。こうした曖昧な自己ケアの形は、彼らの深い恐れの表れであり、無意識のうちに自分を守ろうとする試みでもあります。

心気症の不安をうまく処理できない場合、実際に身体に心因性の症状が現れてしまい、その身体的不調がさらなる不安を招くという悪循環に陥ることもあります。

クラウディオ・ナランホ

Naranjo, C. (2012). "27 personajes en busca del ser"

SX7:夢見がち

SX7は、地に足のついた現実的な存在ではなく、むしろ天上的な世界に強く心惹かれます。彼らは現実的な物事にはあまり関心がなく、より高次で洗練された世界に強い憧れを抱いています。SX7は、まさに夢想家と呼べる存在です。イチャーソはこの性質を「暗示にかかりやすい人」と表現しました。私(ナランホ)の理解では、これは現実の厳しさに比べて、もっと素晴らしい何かを思い描く情念であり、現実を魅力的に変えようとする衝動や、空想し、物事を理想化しようとする衝動です。つまり、理想化とも言えるものです。タイプ7ではなくタイプ5の話になりますが、SO5の特徴を表すキーワードが「トーテム」であり、この場合のトーテム化が極端な理想化を意味するならば、SX7の理想化は、より身近で日常的なものに向けられます。彼らは、恋に落ちた人のように、世界を楽観的に見る傾向があります。「恋は盲目」と言われるように、SX7もまた、その意味で盲目であるとも言えます。彼らは、あまりにも熱狂的なのです。

SX7の情念は、夢を見ることにあります。平凡で退屈な現実よりも、想像の中の甘美な世界に引き寄せられるのです。フロイトの協力者であり、フロイト以上に性格描写に長けたカール・アブラハムは、彼らの極端に楽観的な性格についてこう述べています。「私は大丈夫、あなたも大丈夫、すべてが大丈夫」。こうしたSX7の楽観的な物事の見方は、タイプ7以外の人々にとっては、まるで苦しみや陰鬱さから解放されるような癒しの力をもったものだと感じられるかもしれません。修道士のようにストイックに生きて徳を積むよりも、甘美な夢を見るほうが、SX7にとっては天上的な世界へ至る近道に思えるのです。

サンドラ・マイトリ

Maitri, S. (2001). "The Spiritual Dimension of the Enneagram"

SX7:暗示にかかりやすい人

SX7は、出会ったアイデアや計画、人に強く影響を受けやすい傾向があります。特に恋人や自分が惹かれる相手の考え方や価値観に同調しやすく、無意識のうちに染まっていくことが多いです。誰かと関係を築けるかもしれないと思うと、頭の中でその関係のシナリオを練り始めます。未来の展開を空想し、地平線の向こうに無限の可能性が広がっているように感じるのですSX7の「暗示のかかりやすさ」は、他人の意見や感情に影響されやすいことだけでなく、恋愛に関する空想に簡単に引き込まれる点にも表れています。感情や想像に引き寄せられやすく、現実の関係に理想を投影し、心の中でロマンチックな物語を作り上げてしまうのです。SX7におけるタイプ7の「暴食」という情念は、SX7が多くの人に魅力を感じやすく、ひとりの相手と深く長く関係を続けるのが難しいことに表れています。彼らは、一つの関係に満足することなく、新しい刺激やさらなる情熱を求めて動き続けてしまいます。

ベアトリス・チェスナット

タイプ7(セクシャル)の説明(2021)

Chestnut, B. (2021). "The Enneagram Guide to Waking Up"

SX7は理想主義的で、より良い世界を夢見ています。彼らは現実よりも、自分が理想とする世界のイメージに強く引き寄せられ、それに没頭することがあります。そのため、現実との接点が薄くなることがあります。非常に楽観的で気分が高揚しやすく、世界を実際よりも美しく、理想的に見る傾向があります。空想にふけりやすく、少し世間知らずな一面もあり、いわゆる「バラ色の眼鏡」をかけたように物事を見ています。また、新しいアイデアや人々に強く魅了されやすく、その影響を受けやすいです。そのため、他人の意見や関心、雰囲気に流されやすく、騙されてしまうこともあります。

もしも、あなたがこのサブタイプである場合、あなたの理想主義、熱狂、楽観性が、現実とのつながりを無意識のうちに弱めているかもしれません。自分や他者にとって有益でない行動をしていても、それに気づかないことがあります。創造性豊かで空想にふけりがちで、その結果、過剰な楽観主義に陥ることがあります。特に、痛みやネガティブな情報への耐性が低く、現実の厳しさを避けがちです。すべてをポジティブに解釈しようとする「暴食」の傾向が強いため、人の意見に流されやすく、他者の影響を受けやすいです。現実から目を背けたせいで、周囲に思わぬ悪影響を及ぼすことがあります。

タイプ7(セクシャル)の説明(2021)

Chestnut, B. (2021). "The Complete Enneagram"

SX7:暗示にかかりやすい人

SX7は、普通の現実に満足することなく、より素晴らしい世界を想像したいという強い欲求を通じて「暴食」を表現します。この場合の「暴食」は、物質的な欲望にとどまらず、より高次の精神的な理想を求める形で現れます。彼らは理想主義的な夢想家であり、想像の中で生きることに情熱を注ぎます。恋に落ちたときのような高揚感を持ちながら物事を見つめ、現実を「バラ色の眼鏡」を通して美しく捉えます。「暗示にかかりやすい人」とは、純粋さゆえに他者の影響を受けやすく、流されやすい性質を指します。SX7は、軽やかで熱中しやすい気質を持ち、刺激的な可能性や楽しい空想に夢中になり、「自分には何でもできる」と信じる傾向があります。

タイプ7(セクシャル)の説明(2021)

Chestnut, B. (2021). "The Complete Enneagram"

SX7:暗示にかかりやすい人

SX7は、物質的な欲求に貪欲というわけではなく、より高次の世界、すなわち理想化された世界に強く魅かれます。彼らは、現実そのままを受け入れるのではなく、理想的な世界では物事がどうあるべきかという視点から、楽観的に物事を捉えます。SX7は夢想家であり、厳しく無味乾燥な現実よりも、理想的で美しい世界を描き、日常を美化し、過剰に熱狂しながら物事を理想的に捉えます。彼らの「暴食」は、物質的な欲望ではなく、理想や美化への執着といった、理想化への強い欲求として表れます。

SX7は、地に足のついた日常にあまり興味を持たず、より高次で洗練された世界(現実的な事柄から離れた世界、精神的・理想的な領域)に強く惹かれます。彼らは、空を見上げて夢を追いかけることが多く、現実の厳しさから逃避し、理想的な世界に没頭することを好みます。つまり、現実的というよりは、どこか浮世離れした傾向があります。このサブタイプの人々は無邪気で楽天的な性格を持ち、日常を美化して、夢を見ることに強い欲求を感じます。彼らは非常に理想主義的であり、そのために現実を無視してしまうこともあります。

SX7は、恋に落ちたときのように、物事を楽観的に、理想的に見がちです。恋に落ちたときには、すべてが美しく見えるものですが、SX7もまた、理想的でポジティブな体験に没頭することで、人生の不快な側面から無意識に目をそらします。彼らは、過度にポジティブな視点を持つことで、直視したくない不安やネガティブな感情から注意を逸らしているのです。

「愛は盲目である」と言われることがありますが、SX7もまた、現実を冷静に見るのが難しい場合があるとナランホは指摘しています。彼らは、熱意と楽観性が過剰であるため、物事のポジティブな面に過剰に注目するあまり、バランスの取れた視点を欠くことが多いです。非常に激しく恋に落ちることがあり、夢や想像を通じて世界と関わろうとします。「世界はこうあるべきだ」と理想的なビジョンを描き、それが現実だと信じ込んでしまうこともあります。

SX7は、夢や空想にふけることを強く求め、理想的な世界を描いてその中で生きようとします。彼らは、過剰なまでに幸福を追い求め、頭の中に作り上げた魅力的な世界で生活しようとします。これは、人生の苦痛や退屈、不安から無意識に目をそらし、それらを避けようとする心の働きです。言い換えれば、SX7の楽観性は、ネガティブな感情を避けるための過剰な補償の一形態とも言えるでしょう。彼らは、ネガティブな感情にとらわれることを恐れ、楽観的な世界観に逃げ込んでしまいます。

SX7が夢に生きることは、理想化の一種だと解釈できます。彼らは「人生はこうあるべきだ」という想像に強く魅了され、日常の平凡で退屈な現実よりも、夢の中で描かれた美しい世界を求めます。そして、現実の中で起こる困難や苦しみには、できるだけ目を向けたくないと考えるのです。

SX7は、「自分は大丈夫、すべて順調」と考える傾向があります。この思考パターンは、タイプ7以外の人々にとっては癒しの効果をもたらすとナランホは指摘しています。SX7は、幼少期に何らかの苦しい経験をしたことが多く、その痛みを感じないようにするために「軽やかさ」を身につけます。彼らは、防衛的に幸福感や過度の高揚感に浸ることで、無意識に深い痛みから自分を遠ざけようとします。これはまるで、地面から浮いているかのように、現実の不快な感情を避ける手段として機能しています。

SX7には「暗示にかかりやすい」という特徴があります。これは、心が柔軟で想像力豊かであることを意味しますが、同時に信じ込みやすさや催眠にかかりやすい性質、周囲の熱狂に流されやすい傾向も含まれています。ナランホは、SX7の防衛メカニズムが「暗示」や「幻想」、「錯覚」の形を取ることを指摘しています。彼らは人の言葉をそのまま信じてしまいがちで、世界や人々を理想的に美化して見る傾向があります。現実の不快さや苦痛から逃れるために、理想的な未来を追い求めるのです。また、感情や直感よりも、思考や想像を重視する傾向があります。

SX7の特徴のひとつは、おしゃべり好きなことです。彼らは饒舌で、自分の話に夢中になりやすく、次々と「素晴らしいアイデアや可能性」を語ります。また、何事にも影響されない無邪気な道化師のように振る舞うこともあります。SX7は皮肉を交えたユーモアを好み、それが現実逃避の手段となることもあります。さらに、誘惑やユーモアを使って人との距離を測り、相手の限界を試すことがあります。他者からの受け入れや評価、承認を強く求め、魅力を武器にして人を動かそうとします。

SX7は、計画を立てたり、その場に応じて即興的に行動したりします。彼らは「自分は何でもできる」と信じ、楽しみを確実に手に入れるために、成功するための戦略を考えて実行しようとします。しかし、たくさんのことを同時に進める難しさや、何かを諦めなければならないことに対して不安を感じることもあります。このような不安や興奮が、常に動き続けるエネルギーとして現れ、それと同時に、多くの活動をこなすことで気を紛らわせようとする傾向も生じます。しかし、この興奮と不安の入り混じった状態が、現実の認識を曇らせてしまうこともあります。時には、受動攻撃的に反抗することがあり、問題に向き合う代わりに、理想的なシナリオを頭の中で描き、それに没頭して現実で行動を起こさないこともあります。こうした傾向が強くなると、空想の中で物事を解決したつもりになり、実際の問題に対処しないままとなってしまうこともあります。

SX7にとって、世界とは「無限のチャンスに満ちた市場」です。「多くを手に入れるほど、もっと楽しくなる」のです。あらゆる経験を楽しむことに胸を躍らせ、すべてが魅力的で刺激的に感じられます。まるでパン屋に行って、すべての種類を少しずつ試してみたいとワクワクするような感覚です。彼らは「何も逃さずに、すべてを味わうこと」に強い満足感を覚え、逆に、何かを逃したり失ったりすることを恐れます。そのため、できるだけ多くの経験を積み重ねようとし、常に新しい刺激を求め続けるのです。この探求心こそが、SX7を突き動かす原動力となっています。

「セクシャル」という名前からは性的な関心が強い印象を受けるかもしれませんが、SX7が本当に求めているのはセックスそのものではなく、愛の本質です。SX7は恋に落ちやすいものの、誰かと肉体的な関係を持つことよりも、理想的で究極的な結びつきを追い求める傾向があります。SX7にとって、セクシュアリティは主に頭の中の概念であり、観念的なものとしてとどまることが多いのです。それは、一方では普通の性的な感覚として存在しつつ、もう一方では神秘的な一体感へと至る扉のような役割を果たします。

SX7は、精神的・超越的なものに対する、貪るような強い欲求を持ち、それが彼らを夢想家にしています。彼らはスピリチュアルな体験や、形而上学的な探求(哲学的な深遠な探究)、そして非日常的で神秘的なものに強く惹かれることがよくあります。こうした理想的な精神世界に生きる彼らにとって、現実の平凡な側面は耐えがたく、日常的で単調な活動を極端に退屈に感じることがあります。

SX7にとって、現実の世界で何かをするには努力が必要であり、それが退屈さや面倒くささにつながります。一方で、頭の中ではすべてがスムーズに進み、想像の世界では何の障害もありません。実際に行動するよりも、想像の中で体験するほうがはるかに楽に感じられるため、彼らはしばしば現実の行動を避け、想像の世界に浸ることで満足しようとします。その結果、現実から離れ、地に足がついていないかのような怠惰状態に陥ることがあります。

アダム(SX7)の証言:

私はSX7の特徴にとても共感しています。物や物質にはあまり執着してきませんでしたが、理想化すること、学ぶこと、そして良いエネルギーを感じることには貪欲でした。自分が満たされるためには、常にポジティブな高揚感を感じている必要がありました。実際、高校時代のあだ名は「エンスージアダム(エンスージアズムなアダム、熱狂アダム)」でした。私は人生のあらゆることに対して強い熱意を持っていて、その熱意は周囲にも伝染していました。年齢を重ねるうちに少し落ち着いたものの、本質的な部分は今でも変わりません。

私は自分を本物のロマンチストだと思っています。私の考え方の多くはエニアグラムのタイプ4とも重なります。私は深く愛し、恋に落ちることが大好きで、常に愛を求めてきました。そのため、結婚相手を選ぶ際には、とても慎重でした。この大切な決断に迷いを持ちたくなかったからです。幸い、私は素晴らしい選択をしました。私たちは11年以上一緒にいますが、今でも妻に夢中です。今の現実は、かつて何度も想像し、夢見ていたものでした。そして、こうした空想や理想の追求が、このサブタイプの特徴と一致していることを、今ではよく理解しています。

私は平凡なことがとにかく苦手です。何の意味もない雑談には耐えられませんし、家事も本当に嫌いです。家事をこなす唯一の方法は、刺激的な講義のMP3を聴きながら一人で黙々と作業することです。そうすれば、少なくとも何かを学ぶことができ、時間を無駄にせずに済みます。こうして、私の「学びへの貪欲さ」も満たされるのです。

最後に、私は理想的な老後について、何度も空想をめぐらせてきました。私にとっての理想の老後は、愛する妻と一緒に旅をし、知的な刺激に満ちた日々を送り、思いきり楽しみ、そして妻との深い絆を育むためのたっぷりとした時間を持つことです。

悪徳から美徳へ至る道においてSX7が取り組まなければならない具体的な課題

SX7は、自分が現実ではなく想像の中で生きていることに気づき、「なぜそうしているのか」「そのとき心の中で何が起こっているのか」を探ることで、暴食(七つの大罪)から節制(美徳)へと向かうことができます。もしあなたがSX7なら、幻想と現実の違いを意識することが大切です。自分が現実を美化したり、人や物を理想化したりする傾向があるとしたら、それがどこから来ているのか、その背後にある感情や動機を探ってみましょう。また、自分の成長や前進を妨げるような幻想を、もっともらしい理由で正当化していないかにも注意してください。物事を楽観的に捉えすぎているとき、それは実は深い欲求不満や恐れを隠している可能性があります。その隠れた感情に目を向けてみてください。現実の世界で、本当に自分が求めているものを手に入れられるよう、欲求不満に耐える力を養いましょう。そうすることで、幻想にすがらなくても満たされる感覚を持つことができます。また、皮肉っぽくなったり、遠回しな抵抗をしたりしていないかに気づき、それが何によって引き起こされているのかを探ってください。恐れや悲しみ、怒りといった深い感情とも向き合うことが重要です。人間関係を「改善しようとしている」と思っていても、実際には頭の中で理想の関係を思い描いているだけ、ということはありませんか?もしそうなら、自分に正直になりましょう。理想と現実のギャップにがっかりしたとき、その気持ちを見ないふりせずに受け入れてください。また、不安が現実の見え方をゆがめていることはないか、注意してみてください。不安を感じたとき、熱狂や快楽でごまかすのではなく、「自分はいま不安なのだ」と認めることで、より健全な方法で不安と向き合えるようになります。

ハイキ

The Haiki Enneagram Website

SX7:暗示にかかりやすい人

SX7は、タイプ7の暴食をさまざまな形で表現しますが、SP7ほど多様でも激しくもありません。タイプ7の三種類のサブタイプの中で最も軽やかで、意外にも性的な魅力はあまり強くありません。SX7は夢見がちで、魅惑的な世界に強く引き寄せられますが、SP7のように頑固なところはなく、熱狂や創造性を通じて現実の厳しさを回避します。彼らはどんな手を使ってでも、永遠に無邪気な子供のように過ごし、うまく切り抜けていこうとします。責任を取ることや本気で向き合うことを避ける傾向があるため、ピーターパン症候群という言葉がぴったり当てはまります。

また、SX7は現実でタイプ7の「暴食」に陥ることは少なく(つまり一部のSP7のように底なしに金やモノに執着することはあまりなく)、幻想やアイデアの世界でうまくやっていくタイプです。理想主義的な性質が強く、暴食の傾向に加えて、暗示にかかりやすい性質も持っています。

このサブタイプは「いつまでも子供のようでいたい」という欲求が強いです(この点ではSP2と似た部分があります)。そのため、SX7は自分に暗示をかけながら生きています。彼らは蛇使いのように人を魅了し、自分の欲しいものを手に入れます。何かがうまくいかなくても、「それが最善だった」と自分を納得させ、問題を「新しいチャンス」としてポジティブに捉え直そうとします。しかし、どんなことにも限度というものがあります。楽観主義が行き過ぎると、現実の厳しさに直面して大きなショックを受けることになるでしょう。

カルメン・デュラン、アントニオ・カタラン

Durán, C. and Catalán, A. (2009). "Los engaños del carácter y sus antídotos"

SX7:暗示にかかりやすい人⇒魅了する人

可能性への熱狂のために、SX7は他者操作的なところがあり、さらには彼ら自身が騙されやすいところがあります。彼らは他者に熱狂を伝えたり、盛り上げたりする能力に長けていますが、同時に他人やプロジェクト、アイデアに心を奪われやすく、簡単に影響を受けてしまいます。SX7は世界が「幸福になれる場所だ」と確信させてくれるような、継続的な恍惚感を与えてくれる存在を求めています。このような感覚は、まるで「人生に恋をする」ようなものです。つまり、良い面だけを見て、現実の困難を無視して生きる傾向があります。彼らは生粋の熱狂者で、次々と色々な物に興味を持ち、その対象が移り変わります。一つのことに集中せず、どんどん別のことへと移っていきます。そのエネルギーは、彼らが義務として果たさなければならない仕事には向かうことはなく、むしろ現実よりも強く感じられる夢や理想に向かっていきます。これらの夢は、現実を一部置き換え、幻想の世界に浸っているような感覚をもたらします。この「追い求める性質」があるため、私たちはSX7を「魅了する人(Enchantment)」と呼びます。SX7は、他者に自分を魅力的に見せることで人々を惹きつけ、その期待に応えようとします。そして、同時に自分自身の魅力に酔いしれ、他者からもたらされる熱狂によってさらに陶酔していきます

ラ・ミラダ・リブレ

Psychology of Ennea-types Volumes by Claudio Naranjo Interpreted by La Mirada Libre

SX7:暗示にかかりやすい人

ここでは、幻想の世界に足を踏み入れます。SX7の「暴食」は、単なる本能的な欲求を満たすものではなく、理想や夢を追い求める知的な誘惑へと変わります。彼らは、人生の出来事や人間関係、モノに対して、常に夢中でいたいと望んでいます。つまり、成長したくないのです。ようこそ、ピーターパンの世界へ!

SX7が「暗示にかかりやすい」と言われるのは、彼らが自分や他人に強く影響を与えようとする衝動を持っているからです。その衝動は、魅惑的な情熱によって駆り立てられます。そのため、SX7は、自分が特別な存在だと感じさせてくれる他者からの視線を求め続けます

SX7は、場を盛り上げ、楽しさを作り出すことに長けています。しかし、その裏には、感情と向き合うことや、内面的な空虚さに直面することへの強い恐れがあります。

彼らは、道化師のように気まぐれに動き回り、周囲の人々の注意を引きつけ、退屈な思考を阻止しようとします。(私自身、SX7の上司と何時間も会議をしましたが、彼らは冗談を交えながら話を遮り、最終的に何が言いたかったのか、誰にも分からないままでした)

彼らは、あらゆる責任から巧妙に逃げます。表向きは責任のある立場に就くこともありますが(その旺盛なエネルギーゆえにです)、実際には、自分の代わりに陰で仕事を進めてくれて、責任を引き受けてくれる人を自分の周囲に配置するのが得意です。簡単に言えば、彼らは「逃げの達人」です。問題は他人に押し付け、義務や面倒ごとから上手に身をかわすことができます。

彼らは高揚感に包まれ、陶酔的な性格を持ち、躁うつ的な傾向があります。しかし、外の世界に見せるのは躁状態だけです。抑うつ状態に入ると、彼らは本来のスキゾイド的な性質(感情的に孤立し、人間関係を避ける性質)を出して、世界から引きこもります

トリックやなぞなぞ、ジョーク、キラキラしたものを愛しています。これは、何にでも笑っていた子供時代の心理状態に深く根ざしています。彼らはルールを無視して自由に生きていますが、その反抗的な態度が目立たないように巧妙に振る舞っています。周囲の人々には脅威的な存在ではなく、むしろ楽しませてくれる存在として受け入れられがちです。しかし、実際にはエニアグラムの中でも最も反抗的で、支配されることを嫌う性格です。

恋愛において、彼らに課せられる制限は「愛されていない」というメッセージに変わります。彼らを愛するなら、完全に自由にさせなりません。SX7は束縛を極度に恐れます。例えば、私のSX7の友人は、電話契約にすらサインできません。それは、彼らにとって「縛られる」という感覚が強すぎるからです。彼らは今でもプリペイド携帯を使っている数少ない人の一人でしょう。

サブタイプ間での違いの一つとして、SX7の「対人関係の扱い方」を挙げることができます。SX7は一見、非常に共感的に見えますが、実際には多くの人々と深い感情的なつながりを持っていません。ただ、ごく一部の特別な人々に対してのみ、深い絆を結びます(これは彼らの影の側面にあたります)。

タイプ7の三種類のサブタイプの中で、SX7は最も感情的に動かされやすいタイプです。元々、タイプ7はヘッドセンターの中では最も感情的なタイプですが、SX7は特にその傾向が強く、人生を理解するだけでなく、感じ、情熱的に生きることを求めています。

ドン・リソ、ラス・ハドソン

Don Riso and Russ Hudson (1999),The Wisdom of the Enneagram: The Complete Guide to Psychological and Spiritual Growth for the Nine Personality Types

SX7は、常に新しいものや平凡を超えたものを求めています。タイプ4と同じように、彼らは平凡なものを受け入れ難く感じて、むしろ拒絶する傾向があります。すべての活動や対人関係において、SX7は「生きている」と実感できる強いエネルギーを体験したいと考えています。これは、単なる楽しさを超えた、存在そのものを深く感じ取ろうとする心理的傾向です。SX7は想像力を限界まで高め、現実を理想化します。自己、関係性、そして現実そのものを理想的に捉えることが多いです。また、多様な興味を持ち、最先端だと感じる新しいアイデアやトピックに強い魅力を感じます。このように、SX7は「新鮮」だと感じる人に強く惹きつけられ、その人に対しては、魅力的かつ真摯な関心を持って積極的にアプローチします。その結果、彼らは一時的にその対象に夢中になり、まるで催眠にかかったかのように強く引き込まれることもあります。そして、その魅力的なエネルギーは、周囲の人にも同様の感覚を引き起こすことがあります。SX7は、新しい人との未来の冒険や共通の興味について、幻想的に空想することを楽しみます。こうした思考は、SX7にとって大きな刺激となり、さらにワイルドなアイデアやユーモア、ウィットを好む傾向を強めます。そのため、SX7は非常に思考の速度が速いですが、このスピード感が自身や人間関係において不安定さや落ち着きのなさを引き起こすこともあります。常に新しい刺激を求めるあまり一つのことに集中できずに焦燥感を覚えることがあります。

SX7が健全さを欠くと、興味や恋愛感情が次々と移り変わりやすくなります。彼らは、関係における責任や長期的なコミットメント(責任や継続的な関係に束縛される不安)を避ける一方で、恋愛の初期に感じる熱烈な陶酔感を好みます。彼らは恋に落ちる瞬間そのものを愛しており、ロマンチックな雰囲気や、相手と知り合っていく過程を楽しみます。しかし、恋の感情が馴染んでくると、相手への興奮が薄れてしまい、新たな恋に落ちる瞬間を探し始めることがよくあります。また、SX7の落ち着きのなさは、判断力にも影響を与えます。目を引く流行や派手なアイデアにすぐ飛びつきますが、それらはしばしば一時的な気晴らしに過ぎず、すぐに飽きて幻滅してしまいます。その結果、SX7はすぐに失望を味わうことになります。

不健全な状態に陥ると、SX7は強い刺激を求めるあまり、ますます衝動的で無謀になります。非現実的な計画や、危険な恋愛関係に手を出すことがあります。彼らはスリルを求めてどんどん刺激的な娯楽を追い求めますが、その一方で、次第にどんな刺激にも反応が鈍感になっていきます。常に限界ギリギリの生き方を続けることで、次第に感覚が麻痺し、過度に自己破壊的な生活に陥ってしまうこともあります。その結果、心身ともに燃え尽きてしまったり、取り返しのつかないダメージを負うこともあります。ほとんどのタイプ7は、人生のどこかでこうした不健全な傾向に直面します。自分の行動パターンに気づき、その瞬間を意識して捉えること、そして自分がどんな反応を示しているのかを理解することが、このタイプの否定的な側面から抜け出すための重要な鍵となります。


出典:
本記事はPDB(Pdb: The Personality Database)様のwikiであるhttps://wiki.personality-database.com/様の上記リンク先ページを日本語へと翻訳し、訳者判断でアンダーラインを引いたものです。CC BY-NC-SA 3.0を継承しています。

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