エニアグラム・生得本能(本能のサブタイプ)サブタイプ別の詳細な特徴、海外書籍情報の翻訳・まとめ
タイプ5:ソーシャル(SO5)の詳細
生得本能・ソーシャルにおけるタイプ5の「貪欲」
社会的本能とタイプ5の貪欲が組み合わさると、自分の社会的地位に役立つと感じる物事に執着する形でこの貪欲が表れます。多くの場合、知識人として尊敬される英雄像を持っています。SO5は社会的に認められたいという強い欲求を抱いていますが、その性質上、無価値だと感じた人々を徹底して避けようとします。社会的ヒエラルキーを強く意識しており、誰と付き合うかに非常にこだわりを持ちます。より高い意味と深い理解を求めるため、平凡な生活や人々を退屈だと感じることがあります。知恵の象徴となりたいと考えるSO5は非常に知的で、知識の収集に没頭します。また、自分の感情を理論化して切り離し、感情を思考から切り離すことで、重要ではないと見なして抑圧する傾向があります。このサブタイプはタイプ5の中でも最も冷徹で、知識のイメージを守るために常に自分の一部を隠し続けるため、内面が最も理解しにくいタイプ5でもあります。
イチャーソはSO5を「トーテム」と名付け、尊敬すべき英雄像を持つ人々だと解説しました。彼らは自分の英雄を神格化する一方で、他の人々を「自分と同じ人間だと見なさない」傾向があります。ナランホはこのタイプについて、自分が重要な存在だと感じたい一方で、自分は重要ではなく、魅力にも欠けているという「内的な欠乏感」を抱えていると述べています。この欠乏感が、彼らに意味の魔力や経験の豊かさ、特別で高尚で素晴らしいもの、あるいは非凡さを求めさせる原因となっていると説明しています。
特徴的な構造
Naranjo, C. (2021) "Avaricia: mezquinos, arrogantes e indiferentes"
以下の説明は、エニアグラムタイプ5に関する書籍「Avaricia: mezquinos, arrogantes e indiferentes(貪欲:狭量、傲慢、無関心)」から抜粋した元の説明を要約したものです。この書籍はクラウディオ・ナランホの弟子たちによって書かれ、彼の監修のもと、彼の名前で出版されました。
理想化
SO5の主な特徴である理想化は、誤った満足感や自己重要感を生み出します。このサブタイプは理想化された部分と自分を同一視し、「完璧な」ものや超越的なものを愛するようになります。周囲の物事は、神聖なものと無価値なものに分類されがちです。理想化は、ネガティブな自己像を覆い隠す役割を果たしており、SO5の「真の自分」と彼らの強い理想への欲求との間には、終わることのない対立があります。
合理化
知的なタイプ(タイプ5、タイプ6、タイプ7)の中で、タイプ5が最も知的なタイプです。さらに、タイプ5の中でもSO5は最も知的なサブタイプです。このサブタイプは自分の経験を合理的に解釈し、感情や感覚を情報として処理します。彼らは感情に関わらず、親密さを避け、頭を通して関係を持とうとします。SO5は知的傲慢さによって、人々から冷たく距離を置き、結果的に彼らの方が周囲の人々から疎外されることになります。
分離
SO5は自分があらわになる恐怖から守るために、心理的な分離という手段を取ります。この分離はタイプ5の典型的な防御メカニズムです。思考と感情が分離され、SO5は感情を避けていることに気づかなくなります。過去の経験に結びつく感情は次第に失われていきます。
距離を取る
タイプ5の中で最も社交的なサブタイプであるにも関わらず、SO5は他者からよそよそしく、控えめで、感情的に距離を取る人物という印象を抱かれがちです。SO5は人間関係から何も得ることを期待せず、そのため容易に人間関係を放棄します。自己像に対する極端な執着があり、自己中心的な傾向が強くなります。
行動を起こせないこととエネルギーの不足
エネルギーを節約する傾向が強いため、SO5は行動を起こすことが難しくなります。その結果、人間関係に関わることもほとんどありません。時には、すべてのエネルギーを自分が重要だと思う分野に注ぎ込み、その多くは理想の追求に使われます。SO5は、自分のエネルギーを外の世界に向ける準備ができていないと感じることが多く、ただ観察者として人生を過ごし、機会や才能を活かしきれないことがあります。
隠された雰囲気
人間関係において、SO5は理想的なイメージを維持しようとするあまり、自分を隠そうとする傾向があります。神秘的で控えめな彼らは、常に自分の内面を隠しています。
感覚の麻痺
SO5は鈍感でありながら、非常に過敏でもあります。このサブタイプは、他人のニーズに対して無関心に振る舞います。一方で、非常に依存的で傷つきやすいため、他者から冷たく距離を置くことで自分の感情を隠そうとする傾向があります。
諦めと「ノー」と言えないこと
SO5は諦めがちで、フラストレーションを内に秘めておくことを好みます。他者との衝突を避けるために相手の願いを受け入れてしまうことがあり、衝突のない状態を保つために自分の人生を制限しており、その結果、成長の可能性を犠牲にしています。
傲慢さ
傲慢さはSO5の特徴の一つで、彼らは知識を通じて自分の重要性を確認しようとします。SO5は自分の理論を放棄することが難しく、教授のような態度を取ります。彼らは普通の生活や人々を軽蔑し、その傲慢さは不安定な自尊心を補うものです。自分の世界に没頭するSO5は、他者を気にせず、必要としない態度を取ります。
抑制された欲望と豊かさ
SO5は物質的な豊かさには関心がありません。彼らは貪欲を一種のタブーとして、わずかなもので暮らそうとします。自分の望みを追い求めるために使うべきエネルギーを、他の物事で無駄にしたくないと思っています。SO5は自分が豊かさを求めない理由を見つけ、しばしば「自分には必要ない」と思い込んでしまいます。
内面的な欠乏感
SO5は内面的な飢えを感じています。彼らは母親から十分な温かさを受けられなかったと感じており、理想化によってその飢えが一層強調されます。なぜなら、理想と比べると、自分の価値が常に劣っているように感じてしまうからです。
けちけちした態度
SO5は他人にも自分にも非常にけちけちしており、自分が本当に必要としているものを理解できていません。彼らは、欲しいものを手に入れるための努力や期待を放棄し、代わりに極度の不足状態を耐え続けることを学んでいます。また、このけちけちした態度のせいで、他者の感情に寄り添うことや、他者が何を求めているかを理解することも非常に困難です。
自閉的な傾向
SO5は内面の世界にこもり、抽象的な思考に没頭しています。コミュニケーションが苦手で、周囲に知られないまま、深い苦しみを抱えて生きていることがよくあります。孤立し、引きこもりがちになる傾向が強く、非常に敏感で、外部からの刺激を最大限に避けようとします。世界に無関心で、自己への執着が強いです。極端な場合には、自閉症やカタトニア(精神的および身体的な反応の極端な異常を伴う症状群。例えば、統合失調症や重度のうつ病、双極性障害などに見られる症状)などの診断が下されることもあります。
クラウディオ・ナランホ
Naranjo, C. (2012). "27 personajes en busca del ser"
エニアグラム タイプ5 ソーシャル – トーテム
タイプ4は非常に強烈で他者と差別化される性格を持っているのに対し、タイプ5はその強烈さに欠けるため、他のタイプとの違いがわかりにくいです。
SO5の欲望について、イチャーソは「トーテム」という言葉を使いましたが、これは非常に印象的で、良いイメージだと思います。しかし、SO5の欲求は、単なる存在への欲求ではなく、真の本質や、崇高な理想を追い求める欲求に似ています。トーテムは、その高さと、人間ではなく人工的なオブジェクトであるという性質を表しています。トーテムの高さは、SO5が理想を見上げ、最も傑出した人々と関わりたいと願う傾向を連想させます。これは、ミダス王が「触れたものを全て黄金に変えたい」と願ったようなものです。
SO5の悲劇は、超越的な価値を求めるあまり、知らず知らずのうちに普通の生活や普通の人々を軽蔑してしまう点にあります。彼らにとって意味があるのは、人生の真髄、存在の妙薬、究極の意味だけです。こうして星を追い求める彼らは、地上の生活にはほとんど関心を示しません。つまり、あまりにも精神的すぎるのです。なぜなら、感情的な貧困が思いやりから遠ざかることが、精神的な成長に反するからです。彼らは非凡なものか、無意味なものかという白黒思考の世界で生きています。非凡なものや魔法に到達するまで、何も意味をなさなくなります。
サンドラ・マイトリ
Maitri, S. (2001). "The Spiritual Dimension of the Enneagram"
エニアグラム タイプ5 ソーシャル – トーテム
リソとハドソンによるイチャーソの定義に基づくと、SO5には「目指すべき英雄」がいます。彼らは社会階層を非常に意識しており、トーテムという言葉が示すように、自分もトーテムポールに描かれる顔の一つになりたいと考えています。トーテムは家族や社会集団を表すシンボルやエンブレムであり、SO5はそのトーテムに象徴される存在として生きるか、あるいはそのものになりたいと考えているのです。彼らは社会の原型に非常に意識的で、それを体現し、模範または知識の源となりたいと考えています。自分が特定の分野でトップとなれるような専門知識を身に着け、そのように人々から見られたいと考えています。タイプ5が持つ貪欲な欲求は、SO5の場合、自分に社会的地位を与えてくれると考えるものすべてに執着する形で現れます。
ベアトリス・チェスナット
タイプ5(ソーシャル)の説明(2021)
Chestnut, B. (2021). "The Enneagram Guide to Waking Up"
SO5は特定のテーマについて知るべきことをすべて知ろうとし、そのテーマの専門家として認識されたいと考えています。彼らは自分の価値観や知的関心を共有できる人々との関係を深めるかもしれません。このサブタイプの場合、自分のプライベートな空間に侵入されることよりも、「知らない」ことを恐れる傾向があります。コミュニケーションがあり、社交的で、知的な議論や知識の共有を楽しんでいるように見えるかもしれませんが、彼らの社交は情報や知識に依存していて、人と人の心の繋がりといった側面にはあまり関心を向けません。
これがあなたのサブタイプである場合、あなたはいつも自分が賢くて知識豊富であるように見せようとしているかもしれませんが、そんなことをしても真の知恵や喜びを得ることはできません。これは謙虚な生き方とは言えません。あなたは、「特別なグループ」のメンバーと見なせるかどうかに応じて、他者の扱いを変えてしまうことがあります。自分の好みのテーマや理念に対して、自分と同じレベルの関心や専門知識を持つ人々には、より温かく、親身に対応しますが、一方でそうではない人々には、より冷たく、あまり注意を払わない傾向がある点に注目してください。無意味であることへの無意識的な恐怖から、人そのものに興味を向けるよりも、原因や知識、意味の探求を優先することがあるかもしれませんが、そのために人々から切り離されてしまい、真に他者を気遣うことができなくなってしまいます。純粋に知的関与を優先して感情の発達を回避する傾向があります。しかしながらこれは、感情や人間的な成長を後回しにして、知識や論理を優先することで、無意識のうちに、自分の成長が感情面や人間関係の面で不足していることに気づかずにいる可能性があります。
タイプ5(ソーシャル)の説明(2021)
Chestnut, B. (2021). "The Complete Enneagram"
SO5は「究極の理想」への欲求を通じて、タイプ5が持つ貪欲を表現します。感情的な繋がりではなく、知識や共通の価値観を通じて他者と関係を築こうとします。共通の関心を持つ相手と繋がりたいという欲求が強く働きます。このタイプ5の場合、貪欲は知識への渇望として表れます。人々のニーズや人間関係から得られる支えや充実感の必要性は、情報への渇望に変わります。「トーテム」とは、SO5が信じる高い理想への情熱を持ち、専門家を理想化し、彼らの究極の価値観に関連する知識を求める傾向を指します。SO5は、人生が無意味であると感じることを避けるため、究極の意味を探求し続けます。
タイプ5(ソーシャル)の説明(2021)
Chestnut, B. (2021). "The Complete Enneagram"
タイプ5ソーシャル:トーテム
タイプ5ソーシャル(SO5)の場合、貪欲は知識と結びついています。彼らは、直接人と関わることで得られる精神的な支えを知識への情熱で補うため、人間関係を必要としません。必要なものはすべて思考を通じて見つけられると直感しているかのようです。人や感情的な支えに対するニーズは、知識への渇望に変わります。
このサブタイプの名称は「トーテム」ですが、これは「高い理想」、つまり知的な価値観や興味、理想を共有する人々と関わる必要性を表しています。トーテムのイメージは、トーテムポールの高さと、無機物のように構築された、冷徹で硬直した性格を併せ持つものとして描かれています。このタイプの人々は、日常生活で出会う普通の人々とは関わろうとせず、むしろ自分の理想を共有できる理想化しやすい専門家と関わろうとします。彼らは共通の価値観や知識に基づいて優れた特質を持つとみなされる人物と関わりを持ちます。これらの人々とは、一定の距離を保ちながら接することを好みます。私の知るSO5の一人は、自分の興味や価値観を共有する「人々を集めている」と言っていました。
SO5の場合、タイプ5の貪欲は、人生に意味を与え、特別な存在との結びつきを通じて人生を高めてくれるような究極の理想を貪欲に追求する形で表現されます。彼らの欲求は、今ここにあるものよりも、本質的で崇高なものや非凡なものに向けられています。このように共通の理想に基づく関係を求める欲求から、SO5はより崇高な価値観に向かう傾向があります。ナランホによれば、彼らは星々に目を向ける一方で、地上の日常生活にはあまり関心を持ちません。
因習を打破したがるSX5とは対照的に、SO5は卓越した方法で理想を体現する人々を敬意を持って見る傾向があります。彼らは非凡な価値観を探し求め、それに従う中で、日常生活や人々を軽んじることがあります。彼らにとって精神的な活動はより魅力的であり、日常で出会う人々よりも、非凡さを象徴する遠くの存在の方がずっと興味深く感じられます。
SO5は人生における究極の意味を追い求めています。その背景には「究極の意味が見つからなければ、物事は無意味だ」という潜在意識的な感覚があります。非凡なものを追い求める彼らの衝動は、SO5が非凡さと無価値さという二極の対立を感じていることを物語っています。SO5は「世界は無意味だ」という恐怖を和らげるために意味を探しますが、その過程で人生の真髄を見つけることに傾倒しすぎるあまり、日常生活への関心を失ってしまうことがあります。彼らは理想と日常生活の間に大きなギャップを感じ、究極の意味への強い憧れに駆られています。社会的本能とタイプ5特有の貪欲に突き動かされている彼らにとって、ありふれた自己は、彼らの意味への欲求を満たすには不十分なものです。
意味を探し求める中で、SO5は一見、精神的あるいは理想主義的な態度を取ることがありますが、それは実際には真の精神的達成には逆行するものです。これは、思いやりや共感、そして日常生活で人々が互いに繋がるための実践的要素を無視してしまうからです。この傾向は、いわゆる「スピリチュアル・バイパス」の典型例であり、SO5は自分が成長し発展するために必要な感情的・心理的な作業を避ける手段として、崇高な理想や価値ある知識体系を探し求め、それに没頭してしまいます。SO5自身は「自分はエゴを超越している」と信じているかもしれませんが、精神的な価値観や実践に固執することは、日常の感情的な現実から、理想化された「より高次の」知的体系への逃避手段となっています。どのタイプでもスピリチュアル・バイパスは起こり得ますが、SO5は特にこれを防御戦略として用いる典型例です。
SO5は感情を持つことを好まない傾向があります。彼らは神秘的で近寄りがたい存在にも、楽しく知的な魅力を持つ人物にもなり得ます。専門家のふりをしていることもあり、知性を活用することで全能感を持つ傾向があります。SO5は「より高い価値観や理想を持つ自分は、他者よりも優れている」と空想することがあります。彼らは決して意図的にそれを見せることはありませんが、名声や認知を求めていることがあります。重要な人物になりたいと願い、尊敬する人々と同盟を結ぶことでその欲求を満たそうとすることがあります。
SO5は比較的外向的で、興味深いアイデアや人々に強い関心を示す点で、タイプ7に似ています。通常、SO5は他のタイプ5と比べて社交的で、外の世界と積極的に関わろうとする傾向があります。しかしSO5はタイプ7とは異なり、どちらかというと控えめで、利己的ではなく、感情的でもありません。
SO5のスコットは次のように話します。
エニアグラムに最初に出会ったとき、自分はタイプ7だと思っていました。私は自分を社交的で、人とすぐに繋がれるタイプだと考えていたからです。しかし、よく考えると、私が繋がる相手は特定のトピックの「専門家」や、同じ興味を共有する人々に限られていることに気付きました。私は友人を選ぶ際、彼らの知性を重視し、一緒に過ごす時間は主にアイデアの共有に費やしていました。
また、私は人を分類し、無意識のうちに秘密主義を貫くことで他者との間に壁を作るため、この点から自分はタイプ7ではなくタイプ5だと気付きました。相手に詮索されるのを避けるために、逆に相手について多くの質問をします。そしてよく『自分とは何者なのか。この内なる謎は何なのだろう』と考えることがあります。
幼い頃、私はいつも百科事典や「しくみ」の本、「目で見る」シリーズなどを楽しく読み漁っていました。私にとっては、外の平凡な現実世界よりも、自分の内側にあるファンタジーの世界のほうがずっと重要でした。家族と休暇先へ向かう途中の長旅で、動物の巨大な彫像やエジプト風の建築テーマで街を作り直す空想にふけっていました。みんながビーチで遊んでいる間、私はただ本を読むことが好きだったのです。
私はいつも、自分が思い描く理想の世界に変えたいと願ってきました。それが実現可能かは気にせずに。
宇宙の全体像を理解しようと、形而上学や占星術、さまざまな神秘的・霊的なシステムを学びました。学ぶたびに、それがいつも人生の意味を解き明かすための新しいパズルのピースになると期待していました。そして、多くの自己啓発の取り組みを通じて、唯一の現実で意味のある経験は「今、この瞬間」だと気付いたのです。
タイプ5ソーシャルが悪徳から美徳への道を歩むために必要な具体的なワーク
タイプ5ソーシャル(SO5)は、「知識と情報」への集中から、「現実の人々とのより深い感情的な関わり」へと注意の焦点を広げることで、囚われから解放され、心に余裕を持つことができます。もしあなたがSO5であるなら、高い理想に傾倒するあまり、日常生活での現実の受容を妨げていることに気づくかもしれません。そして、その結果、他者に心を閉ざしてしまうことがあるでしょう。専門家や、特定の(場合によっては日常生活から離れた)個人を理想化しすぎる傾向がないか、注意を向けてみましょう。それは、周囲の人々と直接関わるリスクを避ける代わりに、間接的に人間関係を築こうとする試みかもしれません。また、他者と共通のアイデアを介してのみ繋がろうとする傾向に気づき、それに対抗するために、意識的に自分の感情や直感を共有してみてください。特定の価値観や理想に執着することで無意味さへの深い恐怖を避けようとしていないか、振り返ることが大切です。その執着を手放す第一歩として、無意味さへの恐怖に向き合い、それを深く体験する勇気を持つことが大切です。人生がもたらす豊かな経験を受け入れるためには、視野を広げることが求められます。そのためには、日常生活の喜びや、人間が表現できる多様な感情や行動に目を向け、それを楽しむことが役立ちます。
ハイキ
The Haiki Enneagram Website
SO5: 知識のトーテム
まず明確にしておきたいのは、SO5がどんなに社交的であっても、彼らは他のソーシャルサブタイプよりもずっと社交的ではないという点です。SO5は、外の世界に出るために努力しなければなりません。それは自然にできることではないからです。すべてのタイプ5と同様に、SO5は多くの知識を蓄積しますが、他のタイプ5(SP5やSX5)ほど自分の知識を世界と共有することに苦労することは少ないです。さらに、SO5が社会にどれだけ関与するかは、知識が彼らにもたらす安心感を求めるために依存します。状況が理想的でない場合、彼らは自分の安息の場所に戻ることが多いです。
心理学者のジョルディ・ポンズによれば、「SO5は、タイプ5の3種類のサブタイプの中で最も知的で、科学的な分野に焦点を当てたタイプ5」です。SO5は「私は知っている、だから私は存在する」という信念を持っており、科学的なトピックに非常に多くの時間を費やし、興味を惹かれた分野で専門家となることがあります。彼らは、知識が増えれば増えるほど幸せになれるという幻想を抱いています。社会的には、同じような知恵や共通の興味を持つ人々のグループに所属することを好み、そうした社会に学生、弟子、または教師、インストラクターとして参加しようとします。例えば、科学者たちが集まる小さなグループに参加し、彼らだけが理解できる言葉で科学について話すことなどです。
SO5は知識や才能、卓越した人物、またはより高い次元の世界を理想化し、賞賛する傾向があります。しかし、SO5の問題は、彼らの賞賛に値する人物がほとんどいないことです。SO5が賞賛に値する人物と考えるのは、共にトップを目指す人々です。SO5は並外れた成果を求め、優れた結果を出そうとします。タイプ5は、日常的で現実的なものには接することが難しい傾向があり、あらゆる意味で「優れた」世界に注目しがちです。この特徴はSO5において特に強調されます。
カルメン・デュラン、アントニオ・カタラン
Durán, C. and Catalán, A. (2009). "Los engaños del carácter y sus antídotos"
このサブタイプには「孤独」という言葉が適切です。なぜなら、それは彼らの社会との関係性を示唆しており、他者との距離をどのように取るかを自分で選択できることが特徴だからです。彼らは他者との関わりにおいて、どれだけ近づくか、またはどれだけ距離を置くかを自由に決め、自分にとって心地よい距離感を選びます。このようにして、彼ら自身が選んだ孤立の中で、外部世界は内部世界に置き換えられます。彼らは空想の中で、謎めいた言語を使った想像上の世界を作り出し、その内容を解読できる者だけがその世界にアクセスできるようにします。この言語は信頼のテストとして機能し、その解読者にのみ彼らの親密さが開かれるのです。しかし、現実的には、このテストを突破できる者はほとんどおらず、その結果、SO5の孤立を永続化させる以外に効果はありません。外部のモデル、すなわち、自分が適応できず、常に欺かれていると感じるものを、触れることのできない、手の届かないトーテムに置き換えます。この内部モデルは、イデオロギーであったり、時空を越えて存在するかのような遠く離れた実在の人物であったり、特別な価値観を持ち、理想化された人物であったりします。SO5の孤独の中で、人間関係の難しさ、不器用さ、社会的不適応の感覚は麻痺し、それらが関わりたくないという感情に変換され、外の世界に敵対的なものとして投影されます。
ドン・リソ、ラス・ハドソン
Don Riso and Russ Hudson (1999),The Wisdom of the Enneagram: The Complete Guide to Psychological and Spiritual Growth for the Nine Personality Types
タイプ5・ソーシャル
健全度が平均的な範囲では、タイプ5ソーシャル(SO5)は他者と関わり、知識やスキルを通じて自分の社会的な立場を確立します。彼らは自分を「知恵の達人」と見なすことを好み、特定の専門分野を通じて必要不可欠な存在になりたいと考えます(例えば、オフィスでコンピューターの修理方法を知っている唯一の人物のような存在になりたがります)。SO5は、タイプ5の中で最も知的なタイプであり、しばしば学問や科学、または他の形の指導的立場に惹かれます。彼らは、部族の周縁に住むシャーマン、つまり秘密の知識を持ち帰る賢者としての役割を果たします。SO5は重要なテーマや複雑な理論について話すのが好きですが、一般的な社交的な会話には興味がありません。彼らはアイデアを議論したり、社会を批判したり、トレンドを分析することで他者と交流します。
あまり健全でないSO5は、専門的な知識に基づく役割以外では他者と関わることができなくなります。集めた情報を交渉材料として使い、権力を行使する手段として利用することがあります。知的エリートや芸術的エリートの一員になりたいという社会的野心を抱くこともあります [1]。彼らは、自分の仕事を理解できない人々に「時間を無駄にする」ことを好まない傾向があります。
不健全な段階に入ると、SO5は挑発的で極端な意見を述べることが増え、無政府主義的で反社会的な傾向が強くなります。彼らは人々を「愚か者の群れ」のように見下し、嘲笑することがよくあります。社会や現実について奇妙な理論を展開することもありますが、自己保存タイプ5(SP5)とは異なり、それらの理論を他者に強く主張しようとします。
訳注
- ^ この「知的エリートや芸術的エリートの一員になりたいという社会的野心を抱く」と言う特徴は、SX4(タイプ4セクシャル)にもみられる特徴である。SX4にはこの特徴以外にも「知的さ」「傲慢さ」および「読書や情報収集を好む」というタイプ5に似た特徴があると言われている。SO5は欲望が抑制されていて他人にノーと言えないなどの特徴が挙げられている一方で、SX4は自分の欲求不満に耐えられず、その不満を周囲にぶつける特徴がある点では大きく異なっているため実際にはあまり混同することが無いかもしれないが、知的な側面での競争が激化しやすい環境で育ったSX4や、SX4の演技性の特徴が現れている場合、自身をSO5だと感じることもあるかもしれない。SX4は人間関係にも関心を持つが、もしも「自分がSO5かSX5(理想の人間関係の探求に囚われているタイプ5)かわからない」「SO5の特徴の中でも、他人にはっきりノーと言えないなどの部分はあまりあてはまらないが、傲慢などの点は非常によくあてはまる」「自分がトップじゃないと気が済まない」という人の場合、SX4(タイプ4セクシャル)の可能性も検討してみるといいかもしれない。