エニアグラム・生得本能(本能のサブタイプ)サブタイプ別の詳細な特徴、海外書籍情報の翻訳・まとめ
タイプ2:自己保存(SP2)の詳細
生得本能・自己保存におけるタイプ2の「プライド」
タイプ2の「プライド」が自己保存本能によって歪むと、タイプ2は自分の安全や生存に過度に心配するようになります。危険が迫ると、自分が有利な立場を守るために、相手をお世辞で持ち上げたり、自分の重要さを強調したりします。この結果、「自分が最も重要な存在でなければならない」という強い欲求が生まれます。タイプ2の「プライド」とは、自分の全体的な価値を、実際よりも高く見せたいという気持ちですが、自己保存型のタイプ2は、「何よりも、まず自分を守らなければならない」という信念に従って行動します。この点は、ナランホのタイプ2に関する著作にも書かれています。
SP2には権利意識が強いと見られる人が多いです。彼らは、まるで自分が他の人より優れているかのように振る舞うことがあります。特別扱いを求め、甘やかされることを露骨に期待し、欲しいものが手に入らないとすぐに癇癪を起こすこともあります。SP2の考え方は、「自分は他の人にたくさんのことをしているので、特別に扱われるべきだ」というものです。無意識のうちに、自分がどれだけ他者のために犠牲を払ったかを時間単位で計算しているかのように感じることもあります。周りの人には、「ディーバ(才能や魅力を持ちながらも、自己中心的でわがままな態度を取る人物)」のように見えることもあるかもしれません。
SP2は、愛されるためには、ただ自分が存在しているだけで十分だと感じています。何も特別なことをしなくても、存在しているだけで愛情やケアを受ける権利があると考えています。この考え方の背景には、「自分はひとりではいられない」「自分のプライドや価値を他の人に投影しなければならない」という思いがあります。
それにもかかわらず、SP2はタイプ2のサブタイプの中で最もプライドが低く、愛や注目を受けるために他の人に親切にしたり、助けたりしたいと感じます。見返りに報酬を得る権利があると期待しながら、他人を楽しませたり、喜ばせたりします。SP2は独立心が強い一方で、「助けは要らない」と言いながらも、「誰も自分のことを気にかけてくれない」と不満を言うことがよくあります。彼らはしばしば感情を操り、他人を責めることで自分の欲求を満たそうとすることがあります。
イチャーソはSP2を「自分第一」と呼び、自分のプライドを使って他の人より目立とうとする傾向があると説明しました。臆病で、やや子供っぽい方法で周囲の人々を引きつけたり、他人が自分の面倒を見てくれるべきだとか、自分は特別に扱われるべきだと感じる特徴があります。ナランホはこの特徴を、「自分は人々の注目を浴びる価値があると感じたい」という欲求から来ているものであり、子供っぽい誘惑と、欲求不満になると気まぐれになる性格が組み合わさっていると説明しました。
クラウディオ・ナランホ
Naranjo, C. (2012). "27 personajes en busca del ser"
SP2: 両親に選ばれた特別な存在。特別扱いされる恩恵。
「もしも皇帝が私を求めるなら、報酬を支払っていただこう。皇帝と共にいるという名誉だけでは、私には十分ではないからだ」— W. A. モーツァルト
SP2は、親に選ばれて特別扱いされる「永遠の子供」のような存在です。このサブタイプの人は、年長者や周囲からの好意を求め続ける性質があります。皇帝(SO2)は最も知的で、王(SX2)は最も感情的ですが、王子(SP2)は3つのサブタイプの中で最も活動的でありながら、同時に依存的でもあります。この依存性は、他者に頼りながらも、その弱さや「浮ついた性格」を巧みに使って周囲の好意を引き出す形で現れます。彼らは利己的で気まぐれである一方で、優しさと遊び心も持ち合わせています。子供のような純粋さや無邪気さを装うことで、人を操るのが得意です。この点で、SP2は他の2つのタイプとは異なります。まるで幼い子供が欲しいものを手に入れるために駆け引きをするような振る舞いを見せます。
SP2は、まるで「自分には特別扱いされる権利がある」と思っているかのように振る舞います。彼らは他人より優れているかのような態度を取り、特別扱いを当然のように期待します。そして、望みが叶わないと、不満を露わにしたり、癇癪を起こすこともあります。彼らの頭の中には、「私は他人のためにたくさんのことをしてきた。だから私が特別扱いされるのは当然だ」という論理が根付いています。無意識のうちに、自分がどれだけ犠牲を払ったかを心の中で計算しているような節もあります。そのような態度は、周囲から見ると、まるで自分を特別な存在だと思い込んでいる「自己陶酔的な人物」のように映ることがあります。まさに、特別扱いを求める「ディーバ」のような印象を与えるのです。
SP2は、他人のためになると自分のことを後回しにしがちで、気づかないうちに疲れ果ててしまうことがあります。十分な休息を取らず、自分だけの時間を持つことも少なくなりがちです。自宅でもてなしをしたり料理をしたりするのが大好きですが、自分が準備したディナーやパーティーを彼ら自身が心から楽しむことは少ない場合があります。相手を喜ばせることに夢中になるあまり、自分が楽しむ余裕を持てないのです。SP2は無意識に「自分のニーズも満たしてほしい」と願っていますが、それを率直に口にするのは苦手です。代わりに、相手が自分の気持ちを察してくれるのを期待してしまいます。このため、周囲に助けを求められず、ストレスを溜め込んでしまうことがあります。結果として、SP2は「私はこんなに頑張っているのに」という殉教者のような気持ちに陥りやすくなります。そして、自分が提供したサービスに対して「相手はもっと私に感謝すべきだ」という思い込みを抱いてしまうことがあるのです。
SP2は、自分が払った犠牲を誇りに思い、「私はその見返りを受ける権利がある」と考えています。子供の頃、彼らは「自分が一番大切な存在だ」と思い込みました。そのため、自分の欲求を満たすことに力を注ぎ、その欲求にすべてを注ぐようになります。SP2は、自分の持ち物に対して非常に強い執着心を持っており、3つのサブタイプの中でも最も利己的な傾向があります。
多くの犠牲に対する報酬を求める気持ちは、攻撃的な感情を抑えるために食事や薬物を過剰に摂取することと共に現れることがあります。自分の問題を否定しつつ、不満を口にすることがよくあります。例えば、「助けなんて必要ない」と言いながら、「誰も私を気にかけてくれない」と感じることがあります。彼らは感情的に他者を操ろうとし、自分の欲求を満たすために他の人を責めることがよくあります。そして、もし自分の気持ちを表現しても、その結果として他者から提供された支援を素直に受け入れることは、ほとんどありません。
最も不健康な状態では、SP2は自分の身体的な健康を著しく無視します。摂食障害、心身症、心気症(過剰に病気を心配する症状)などがよく見られます。感情的な欲求や攻撃的な感情を抑え込むことで、深刻な健康問題が生じることがあります。
実際、タイプ2の人々は、壮大な自己像を持ち、自分を特別で強い存在だと思い込んでいるため、あまり自分の体や心のケアをしません。
SP2 ─ 特権
SP2の誘惑は、子供が親に示すようなものに例えることができます。態度や外見において、SO2が大きく、強く見えるのに対し、SP2は小さく、子供っぽく見えることがあります。SO2が成熟しすぎて非常に大人びて見え、SX2はビゼーの「カルメン」のように荒々しく、大自然の力のように振る舞うのに対して、SP2は優しく、まるで子供のように感じられます。
精神分析学者たちは、この性格を「幼児的な性格」と呼びました。イチャーソはこの特徴的な神経症的欲求を「私こそ、一番大切なものである」と表現しましたが、当時の私は、それがナポレオンのように胸を張る態度だと勘違いしていました。しかし、後に私は理解しました。野心的な人が持つ「重要でありたい」という欲求とは異なり、SP2の「私こそ、一番大切なものである」という欲求は、資格や業績、偉業を通じて重要である必要はなく、ただ注目を集めたいという欲望、つまり幼児的な自己中心性を指しているということです。特別な理由で愛されたいのではなく、ただその存在そのもので愛されたいのです。
したがって、このタイプの人に最も強く見られるのは、愛を求める欲求です。これは、性的な誘惑や社会的な自己重要感では得られることのない、純粋な愛への欲求です。
なぜ人は子供のようでいたり、子供のように振る舞いたくなるのでしょうか。実は、そこにはある種の利点があるのです。母性本能を持つ人々にとって、子供は大人よりも魅力的に感じられます。したがって、幼児の特徴は人を引きつける力を持っています。SP2の神経症的な欲求は、自分の幼児性を通じて他者を引きつけることだと言えるでしょう。これは彼らが優しさや繊細さ、そして脆さを求めていることを意味しますが、同時に自己中心的で、責任を回避したいという気持ちも含まれています。
依存
タイプ2の3つのサブタイプの中で、SP2は最も依存的ですが、表面上は自給自足で独立しているように見せかけています。彼らは家族と距離を取ることで、依存を減らせると思っていますが、実際にはそうではありません。なぜなら、自分を守り生きるために、無意識に依存関係を築き続けてしまうからです。彼らはカメレオンのように、優れた直感を活かして他人を魅了します。
自分の不安を感じないように、強い性格の人たちと関わろうとしますが、その結果、自由を「失い」、明るい性格だから愛されるという役割に固執してしまいます。
SP2、みんなを喜ばせたいという気持ちから、必要な勇気を持って自分の限界を示すことができません。そのため、攻撃的な態度を取ってしまうのです。
恥ずかしがり屋
SP2の子供っぽい性格には、とても目立つ特徴があります。彼らの恥ずかしがり屋なところは、認められる確信がないと自分をさらけ出すことに対する恐れと関係しています。
特権を求める情熱の裏には、承認欲求と深い自己肯定感の欠如があります。彼らは自分に限界があることを認めたくなく、また自分の低い自己肯定感に触れたくないため、成功するかどうか確信が持てないときは隠れてしまいます。自分が足りないと認める代わりに、「わからない」「やりたくない」「できない」といった子供っぽい言い訳で逃げることを選びます。内気さや恥ずかしさを、子供っぽく魅力的に見せかけて、対立を避けようとします。
被害者
SP2は誘惑によって、他人に見せたいものだけを見せるように誘導します。また、自分の問題や困難を他人に投影し、他人のせいにする傾向があります。これらの考え方の根底にあるのは、「受け入れられるためには悪い部分を隠さなければならない」という誤った認識です。SP2は、自分の困難や問題を世界のせいにします。そうしないと、自分の行動に責任を持ち、変化しなければならないからです。自分が理解されていない、または評価されていないと感じると、被害者のように振舞うことがあります。SP2にとって、被害者を演じることは簡単であり、問題に直面する際にはその態度を取ることがあります。しかし、彼らは問題に向き合うよりも、その場から逃げる選択をする方が楽だと感じることが多いです。
理想化
あらゆる面で大人に依存している子供は、大人を偉大で、決断力があり、有能で、守ってくれる存在だと理想化します。しかし、もし周りの大人たちが、何が起こっているのかを考える時間や、自分で決める時間を子供に与えない場合、どうなるでしょうか。SP2の場合、その問題を大人に任せることを学びます。
彼らは漠然と、結婚や仕事を始めることで、理想化された大人らしさが自分にも自然に備わると考えています。しかし、現実にはそうではないことに気づき、困惑します。
比較
SP2は、能力に対する基準が非常に高く、完璧主義で理想の自分像に強迫的にこだわります。この傾向は、愛されていない、あるいは捨てられるのではないかという劣等感から生まれています。タイプ4との違いは、SP2が「見捨てられたくない」という思いからプライドを使う点です。彼らは、他人と自分を良し悪しの両面で繰り返し比較しながら生きることで、絶えず葛藤を感じています。このため、まるで王族が民衆を見下ろすように、時には高慢で軽蔑的な振る舞いをすることがあります。
必要性
SP2の根底にあるテーマは、自分に十分な価値がない、または愛されるに値しないと感じていることです。彼らは、他人から必要とされる存在であれば、見捨てられることなく、相手から保護を受けられると考えています。しかし、何かを頼まれると圧倒され、怒りを感じている自分に気づいていません。また、どこまで自分が関わるべきか、適切な限度を決めることができないため、拒絶や苛立ちを感じることがあります。このような時の態度は、まるで癇癪を起こした子供のように見えます。
空想家
多くのSP2は、子供の頃から感情を満たすために読書をしてきました。クラウディオはワークショップでSP2を「制約された冒険者」と定義しました。つまり、彼らは自由を感じたいと考え、旅行をしたり、いろいろなことに挑戦したり、やり直したりすることを切望しています。しかし、現実ではそれができないため、読書を通じてその感覚を味わおうとします。SP2は特に、タブーを破るような内容の小説を好みます。タブーは彼らを「縛る」ものであり、それを乗り越えることで自由を感じるからです。現実が窮屈に感じる彼らは、空想の中で現実ではできないことを成し遂げることができるのです。
男の子のように振る舞う女の子
外見的には、実年齢よりも若く見えることが多く、女性であっても女性らしさをあまり強調しません。化粧はほとんどしないか、全くしないことが多いです。また、女性よりも男性との方が関わりやすいと感じることが多いです。しかし、男性に対して恋愛的な関心を持つことは少ないです。
上から目線
SP2は「自分が優しくて、良い人でいないと愛されない」と考えているため、本当はどうしたいのかを考えずに、相手の要求を、どこか上から目線で無条件に受け入れてしまうことがあります。この態度が原因で、後々自分の負担になるような約束をしてしまい、しぶしぶそれを果たすか、急に放り投げてしまうことがよくあります。
この上から目線の態度には、相手を軽視したり、見下したりする気持ちが含まれています。相手は支援や愛情を必要とする、劣った存在だと感じることが多いです。時には、冗談っぽく嘲笑したり、皮肉を言ったり、冷笑的な態度を取ったりすることもあります。
批判に対して過敏
自分が批判されることが苦手で、周りから批判を受けると、自分には価値がないと感じてしまいます。批判が恐怖を引き起こし、周囲から受け入れられないことや愛されないことへの不安が湧き、いらだち、涙、理解できない気持ち、そして怒りとして表れます。
SP2にとって、自分のミスを認めるのはとても難しいことです。たとえ自分ができないことやうまくいかないことを自覚していても、自分の欠点を指摘されることには耐えられません。これが爆発的な怒りや反発となり、批判をした相手に対して強い感情的な反応を引き起こすことがあります。
嫉妬心と嫉妬に対する恐れ
SP2は、一見すると嫉妬していないように見えます。なぜなら、彼は自分が他の人と比べて劣っていると感じないよう、豊かさや優れた部分を強調しているからです。嫉妬という感情は誰でも感じるものですが、SP2はそれを隠すことで自分の欠点を隠し、競争で不利にならないようにしています。彼はこの嫉妬を心の中で抱え、嫉妬している相手に無関心や冷たい態度を見せることで、嫉妬を表すことがあります。
この性格の人は、自分が嫉妬していることを他の人に隠すだけでなく、嫉妬されることを恐れています。なぜなら、嫉妬されることは無防備な状態をさらけ出すことになるからです。嫉妬されるということは、自分が他の人より優れていたり、他の人が欲しがるものを自分が持っていることを示すことになります。これは、他の人からの攻撃を招く恐れがあります。嫉妬されることで、拒絶されたり、批判されたり、嫌われたりする可能性があります。だからこそ、SP2は自分の特権や魅力的な部分を隠すためにお世辞を言ったり、偽装したりすることがあります。安全で無事でいるために、あえてプライドを捨てた態度をとることさえあります。
優しさ
「優しさ(Tender)」という言葉の意味は、愛情深く、思いやりがあり、親切な人を指しますが、特に幼い子供に見られるような、繊細で従順な性格を表すことが多いです。優しさと幼さが結びつく理由は、経験が少ない幼児が自然と柔らかく、優しい態度を取ることがあるからです。SP2は、この「優しさ(Tender)」を特に大切にし、周囲の人々にもその優しさや穏やかさを自然に伝えます。SP2は、自分らしく自然に振る舞うことで、他の人に守られたり、世話をされることが多くなります。こうした態度によって、SP2は人生や人間関係の荒波から守られ、傷つくことなく安心して暮らせるのです。
所有欲
SP2の所有欲は、他の人と一体になりたいという気持ちから生まれます。相手が常に自分のために存在していると感じることで安心し、見捨てられる危険を避け、自分の基本的なニーズを相手に満たしてもらおうとします。
この所有欲は、他の人を「自分とは別の存在」として、独立した個人として見ることが難しいこととも関係しています。SP2にとって、こうした考え方は感情的な自立への恐れを引き起こします。最終的には、相手を自分の支配下に置こうとする気持ちにつながります。
嫉妬深い
感情的な性格を持つSP2においては、「自分が特別な存在でありたい」という強い欲求が嫉妬心を引き起こします。この嫉妬心は、具体的には「他の人の心や生活の中で、自分だけが重要で特別な存在でありたい」という思いから生じます。この嫉妬心の根源には、父親や母親が互いに嫉妬し合う競争に巻き込まれた子供時代の経験が影響しています。
傲慢で自己中心的
SP2の傲慢さは、まず第一に、自分の望むことや考えが常に他の人に考慮され、認められるべきだと信じる点に現れます。彼らは自分が知的に正しいと考えているわけではありません。むしろ、特に理由もなく最初から自分の意見を押し通そうとする、気まぐれな傲慢さが彼らにはあります。
サディスティック
SP2のサディズムは、彼らの優しさや恩着せがましさと矛盾しているように見えます。しかし、SP2が自分の欲しいものを得られなかったり、裏切られたと感じたとき、サディスティックな一面がはっきりと現れます。もし相手がSP2に無関心であったり、注意を払わない場合、SP2は怒りを爆発させ、相手をひどく傷つけることがあります。SP2は相手の弱点を直感的に見抜く能力を持っているため、その攻撃はさらに深刻になります。また、相手を冷たく傷つけ、助けを求める余地を与えずに放置することもサディスティックです。
偏執的で支配的
偏執的な傾向は、SP2が自分の行動パターンを他人に投影するときに強く表れます。つまり、自分が普段しているような操作的な行動を、相手もしているはずだと勝手に思い込むのです。このせいで、SP2は感情的になり、冷静に考えることができなくなります。例えば、誰かが自分を無条件に応援してくれていないと感じたり、自分より優れている部分を持っていると感じたとき、SP2はその相手を「自分の地位を奪おうとする敵」だと思い込んでしまいます。その結果、SP2は攻撃的になり、相手をコントロールしようとします。そして「自分を脅かす敵には攻撃する権利がある」と確信します。さらに、実際には存在しない陰謀を想像し、それに囚われてしまうこともあります。
他者を抑え込み、復讐に執着する
SP2は、誰かに失望させられたり、自分に対抗してくると感じたとき、相手を無力化するまで徹底的に攻撃します。その方法として、相手を恥をかかせたり、言葉や態度で傷つけたりするのが非常に上手です。こうした行動は特に恋人や兄弟姉妹との関係でよく見られます。SP2は、自分の命令や気まぐれに従わせるのが当然だと思っているため、それに逆らう人には「代償を払わせるべきだ」と考えます。また、自分が侮辱されたり、批判されたり、見捨てられたと感じると、相手の力を奪うことで復讐しようとします。こうして、相手を打ち負かし、自分の優位性を取り戻そうとするのです。
自分に甘い
自分のことを理想的な存在だと考え、どんなことでも自分を許してしまいます。この「許す」という態度は、外からのルールや制約を受け入れられない性格を表しています。まるで「何をしても自分は許される」と信じている子供のような態度を繰り返すのです。このような甘えた態度の背景には、心の中にある「自分は価値が低いのではないか」という不安や、失敗への挫折感があります。しかし、それらを隠すために、まるで自分を子供扱いするかのように振る舞い、全てを正当化しようとします。この傾向は、「大人になるのが怖い」という気持ちとも深く関係しています。
一貫性の欠如
SP2は、規律を守ることが苦手で、努力や犠牲を伴う仕事を続けることはできないと感じています。彼らはよく、自分ができない理由を嘘をついて説明したり、目標そのものの価値を低く見積もったりして、自分を正当化します。また、課題に直面すると、それを他人任せにして解決しようとします。このような行動は、他人に頼り続けるためのものです。そして、自分のプライドを保つために重要な役割を果たしています。しかし、SP2は、こうして規律を避けることが、大人としての内面的な安定感を取り戻す妨げとなっていることに気付いていません。
サンドラ・マイトリ
Maitri, S. (2001). "The Spiritual Dimension of the Enneagram"
タイプ2自己保存 ─ 自分第一
SP2 は、無視されたり自分の必要が満たされないことを恐れています。そのため、自分の不安を解消するために他の人の世話をし、その見返りに自分も世話してもらおうとします。彼らは、あたかも他の人を優先し、自己犠牲をしているように見せかけます。この態度は「ユダヤ人の母親症候群」と呼ばれることもあり、他者を思いやっているように見せながら、実際には自分のために相手を操っているのです。また、タイプ2の「プライド」の感情は、隠れた特権意識として現れます。彼らは自分が犠牲になっていると感じ、その犠牲に対して他の人が世話をすべきだと思い込んでいます。さらに、自分だけが特別に良いものを取るべきだという考えも持っています。
ベアトリス・チェスナット
タイプ2(自己保存)の説明(2021)
Chestnut, B. (2021). "The Enneagram Guide to Waking Up"
このサブタイプは、他のタイプ2よりも子どもっぽく、怖がりで内気な性格です。見た目は魅力的で若々しく、遊び心がありますが、傷つくことにとても敏感です。人とつながりたい気持ちはあるものの、その気持ちが揺れ動きます。最初は信頼を築こうとするものの、傷ついたり、深い関係になることに抵抗を感じると、距離を取ることもあります。このサブタイプの人々は、自由を最も強く求めます。自分に自信があるときはとても有能ですが、時々無力感に襲われることもあります。仕事には一生懸命取り組みますが、時に怠けたり、圧倒されてしまうこともあります。また、自己満足に陥ったり、不安や欲求不満を感じたりすることもあります。
もしあなたがこのサブタイプに当てはまるなら、時々、子どもっぽい態度を取ってしまうことがあるかもしれません。大人として人生に向き合う代わりに、癇癪を起こしたり、不機嫌になったりすることがあるかもしれません。自分を守るために隠れたり、引きこもったりするのがよくあります。自分を小さく見せることで、過剰なプライドを持つことへの恐れ、つまり自分が過剰に自信を持ったり、他人より優れていると感じることに対する不安を避けようとします。人生に立ち向かうこと、人々に心を開くこと、影響力のある仕事に取り組むことから逃げるために、無力感や絶望感に逃げ込むことがあります。あなた自身は、自分は独立していると思っているかもしれませんが、実際には他人に依存している部分があります。責任を取ることや、自分の力を発揮することを避けるために、恨みや恐れ、不安にとらわれてしまうことがあるかもしれません。
タイプ2(自己保存)の説明(2021)
Chestnut, B. (2021). "The Complete Enneagram"
SP2は、大人の前で子供のように振る舞い、「誘惑」することによって、無意識のうちに他者に世話をしてもらおうとします。子供は誰からも好かれやすい存在なので、彼らはあえて若々しい態度をとって、子供時代を超えて特別に扱われようとします。カウンタータイプ[1]であるSP2の場合、他者とのつながりに対する恐れや不安から、タイプ2の「プライド」はあまり表に出ません。SP2の「特権」という言葉は、SP2が自分が与えるものによってではなく、ただ自分自身であることによって愛され、優先されたいという願望を反映しています。SP2は、若々しい態度に加えて、遊び心があり、時には無責任で魅力的な一面を見せます。
タイプ2(自己保存)の説明(2021)
Chestnut, B. (2021). "The Complete Enneagram"
SP2は、自分のプライドや「守られたい」という気持ちを、子供のような方法で表現します。無意識的に、大人の前で子供っぽい可愛さをアピールして、愛情や注目を引きつけ、世話をしてもらおうとします。この行動は、誰かに世話をされたい」という無意識の欲求と、「子供は自然に愛される存在であり、好かれやすい」という感覚の双方に基づいています。そのため、SP2は感情表現や振る舞いがどこか幼く、実際の年齢に関係なく若々しい印象を与えます。SX2は一般的な意味での「セクシーさ」や「奔放さ」といった、大人びた魅力を前面に出す傾向が見られます。それに対して、SP2は無意識のうちに「可愛らしさ」や子供っぽい「甘え」を表現することで、愛情や注目を引こうとします。
人間は本能的に子供に愛情を抱きます。これは、子供たちの生存に必要なケアを提供するよう、私たちに備わった生物学的な本能によるものです。子供は、他人の役に立つかどうかではなく、「ただそこにいるだけで」愛され、大切にされることを求めます。これは、すべての子供に共通する欠かせない基本的な欲求です。SP2は、この純粋で子供のような「愛されたい」という気持ちを強く持っています。このサブタイプは、自分から「世話をしてほしい」と直接頼むのではなく、無意識に「幼さを保つ」ことで他人の世話や愛情を引きつけようとします。これは、子供が本来、自分の欲求を直接伝えることが難しかったり、言わなくても愛され世話をされる存在として扱われる状況に似ています。SP2はまさにこのような形で、愛されたいという気持ちを表現しているのです。
SP2は、子供のような「かわいらしい態度」を取ることで、人が子供に対して抱く普遍的な愛情を無意識に引き出そうとします。子供がその「かわいらしさ」で人々の愛情を引きつけるように、SP2も自分が愛され、世話をしてもらえるように振る舞います。SP2が本当に求めているのは、他人に尽くしたり、何かを成し遂げたりすることで愛されるのではなく、「ただ存在しているだけで」愛されることです。これは、資格や業績、行動による評価ではなく、自分そのものを受け入れてほしいという純粋な気持ちを表しています。また、このSP2の特性は、家庭内で「子供の立場」を取る行動として表れます。家庭では通常、子供のニーズが最優先されるため、SP2は無意識のうちにその立場を選び、「愛されたい」という欲求を満たそうとするのです。
SP2には「特権」という言葉がぴったりくるでしょう。彼らは「私が一番幼いから、私こそが一番大切にされるべき存在だ」という感覚を心の奥底で抱えています。まるで子供が親から特別な扱いを受けるように、SP2も周りの人から特別な扱いを受けたいと願っています。しかし、注目を集めるために何か特別なことをする必要はないと考えています。ただ、何もせずにみんなから見ていてほしい、そう願っているのです。
SP2は、自分だけが特別でかけがえのない存在であるという強い欲求を持ちます。そのため、「誰からも愛され、特別扱いされる存在」という理想像を追い求め、周囲の人を惹きつけたり、自分を犠牲にしてまで相手に尽くしたりする傾向があります。先生のお気に入りの生徒になるなど、周囲から注目を集めることに長けています。
SP2のプライドは、表面には現れにくく、むしろその裏に潜んでいることが特徴です。一般的なタイプ2が、周囲の人を惹きつけようとする積極的な姿勢を見せるのに対し、SP2タイプは自己保存の本能から、人間関係において複雑な動きを見せます。つまり、他者とのつながりを求める一方で、心のどこかで自分を守ろうとする、相反する感情を抱えているのです。SP2は、優しく思いやりのある一面を持ちながらも、他のタイプ2に比べて用心深く見えることがあります。
SP2は、子供のような無垢な一面を持つ一方で、人間関係においては、他のタイプ2よりも強い不安や警戒心を抱いている傾向があります。彼らは、心の奥底で自分を守る必要性を感じており、無意識のうちに周囲の人との間に壁を作っていることがあります。これは、タイプ2が共通して持つ感情の抑圧という特徴に加え、自己保存本能が強く働くことによって、より顕著になる傾向があります。また、親しい人との関係においては、心から近づきたいという気持ちと同時に、深く関わることへの不安が入り混じり、複雑な感情を抱いていることも少なくありません。
SP2は、他のタイプ2と同じように、誰かの役に立ちたい、喜んでもらいたいという気持ちから行動します。しかし、一方で、人間関係の中で傷ついたり、拒絶されたりすることを恐れて、心の奥底では距離を置きたがるという複雑な一面も持っています。人とのつながりは大切だと感じながらも、同時に、親しい関係を築くことによって、自分自身を見失ったり、傷つけられたりするのではないかと不安を感じているのです。そのため、SP2は、人間関係において、近づきたい気持ちと、距離を置きたい気持ちがせめぎ合い、その結果、複雑な行動パターンを示すことがあります。
SP2は、若々しく明るい印象を与え、自己肯定感やユーモアに溢れている一方で、心の奥底では非常に繊細で傷つきやすい一面を持っています。自己理解が進んでいない場合、些細な言葉や態度に過敏に反応し、怒りや悲しみを爆発させたり、関係性を避けるような行動を取ることがあります。例えば、癇癪を起こしたり、相手に責任転嫁したり、子供っぽい態度で相手を責め立てたりするといった行動が見られることがあります。また、自分の気持ちを直接的に伝えることを避け、感情的な表現を利用して、周囲を操ろうとする傾向もみられます。
SP2は、自分では気づかないうちに、誰かに依存してしまう傾向があります。他のタイプ2と同様に、自分自身が他人に依存していることを認めたくないという気持ちがある一方で、無意識のうちに誰かに面倒を見てもらおうとしたり、そうなるような状況を作り出してしまうことがあります。まるで子供が親に甘えるように、SP2もまた、心のどこかで誰かに頼りたいという気持ちを抱いています。そのため、自由を求めながらも、同時に、人間関係に縛られてしまい、自由な行動が制限されるようなジレンマを抱えているのです。
SP2は、他のタイプ2と同様に高い能力を発揮できる一方で、心のどこかで「自分ひとりで何とかしなければならない」という状況を恐れています。責任を持つことへの不安から、「自分はどうすればいいのか」と悩んでしまうことがあります。無邪気な子供のように、誰かに面倒を見てもらいたい、責任から解放されたいという願望を心の奥底に抱えているのです。しかし、年齢を重ねるにつれて、より計画的で組織的な行動を取るようになり、他のタイプ2よりもきちんとした生活を送るようになる傾向があります。
自分自身を甘やかす傾向があり、楽しいことや心地よいものにすぐに心が惹かれてしまいます。パーティーやショッピング、グルメなど、一時的な高揚感や満足感を与えてくれるものに没頭することで、心の奥底にある寂しさや不安から目をそらそうとするのです。これは、自分自身と深く向き合うことを避けるための、一種の自己防衛策と言えるでしょう。彼らは刺激を求め、快楽的な経験を通して、心の空洞を埋めようとする傾向があります。
誰かに愛され、認められたいという願望が強く、特に恋愛関係の初期段階では相手を理想化しがちです。彼らは自分自身に自信がないため、無意識のうちに、自分の未熟な部分を補完してくれるような理想像を相手に投影します。このせいで、自己肯定感が低くなり、本当の意味で自分自身と向き合い、相手と対等な関係を築くことが難しくなるのです。
SP2は、SP6(タイプ6・自己保存)と同様に、人間関係に対して不安や葛藤を抱きやすいという点で共通しています。しかし、SP6の不安が一般的な状況に対するものなのに対し、SP2の不安は主に人間関係において顕著に現れます。また、SP2はタイプ4のように感情表現が豊かで、愛を求める傾向がありますが、タイプ4と異なり、自分のニーズや感情を抑制し、他者への貢献に重きを置く傾向があります。
ハイキ
The Haiki Enneagram Website
自己保存タイプ2:特権
SP2は、よく「お姫様」に例えられることがあります。このサブタイプは、他のタイプ2と比べて自立性や力強さを持ち合わせていない傾向があります。特に女性の場合、子供っぽい印象を与えやすく、その幼さが外見にも現れ、実年齢より若く見えることが多いです。その雰囲気は、SX7が持つ「ピーターパンのような要素」と似ています。SP2は、「自分が当然受けるべき特権」と考えるものに強くこだわる傾向があります。そして、それが原因で、自分の人生を主体的に切り開いたり、責任を取ったりすることが難しくなる場合があります。さらに、タイプ2全般に見られる「誘惑」の手法が、SP2ではより「操作的」な形を取りやすい点にも注意が必要です。
SP2は、自分の「子供っぽさ」や振る舞いに気付き、社会の中で自分の居場所を築けるようになると、誰からも愛される魅力的な存在へと変わります。この変化により、SP2は周囲にとって心地よい「美しい魂」となります。タイプ2のサブタイプの中で、SP2は時々タイプ4のように見えることがあります。SP2は完全にカウンタータイプというわけではありませんが、典型的なタイプ2とも異なります。これは、タイプ2に特有の「プライド」がSP2ではそれほど目立たないためです。また、SP2は人間関係において、他のタイプ2(SX2やSO2)と明確に異なる特徴を持っています。SP2は、他人に何かを任せたり、一人の相手に対して完全に尽くすことに対して、他のタイプ2よりも比較的抵抗が少ない傾向があります。この点で、特に対照的なのがSX2です。SX2は、自分のニーズや欲求を満たすために「もっと良い相手」を常に探し求める傾向が強く、ロマンチックな関係で過剰に執着することがあります。こうした違いは、特に人間関係の中で顕著に表れます。
カルメン・デュラン、アントニオ・カタラン
Durán, C. and Catalán, A. (2009). "Los engaños del carácter y sus antídotos"
SP2: 自分第一 ⇒ 中心
SP2におけるタイプ2の「プライド」は、「自分が他者よりも目立ち、特別な立場にいる状況を維持しようとする衝動」として現れます。現実でも想像の中でも、彼らは自分が注目され、甘やかされるべき存在だと信じています。そんな彼らの雰囲気は、わがままで子供っぽい正義感を持った「自分中心の子供」のようです。しかし、この「特別扱いされるべき」という立場を隠すため、彼らは自分の「優れた部分」を相手と共有し、あたかも生まれつき高い共感力を持つように振る舞います。SP2にとって、自分が「中心的な存在」になること(ここでの「中心」は筆者が選んだ表現です)は欠かせない要素です。そのため、自分の最も魅力的で人を惹きつける側面を巧みにアピールします。彼らは、どのような社会的地位や背景を持つ相手であっても、自分が関心を寄せる相手に対して同じように魅力的で惹きつける態度を取ります。
ラ・ミラダ・リブレ
Psychology of Ennea-types Volumes by Claudio Naranjo Interpreted by La Mirada Libre
SP2:特権(王子・王女)
このエゴパターンを特徴付ける言葉は「特権」です。SP2は、タイプ2のカウンタータイプであり、他のサブタイプに比べて、タイプ2特有の「プライド」が顕著に現れることは少ないです。SP2は自己の欠点を最も認めやすく(この点でタイプ4との共通性が見られます)、同時にタイプ2の中で最も共感的で依存的な傾向を持ちます。
SP2は、親の機嫌に支配される永遠の子供のような存在です。彼らは自らの「特権」を守るために、常に親に喜びとユーモアを提供し続けようとします。SP2は怒りを直接表現することは少なく、怒りの感情はしばしば気まぐれな癇癪や回避的な行動を通じて間接的に現れます。親の期待に応えることが最も重要だと感じ、そのために自分の感情やニーズを抑圧します。SP2は、依存的で永遠に子供であり続ける存在です。親が描いた人生設計に従い、親の要求に応えようとする一方で、自己実現や個人的な幸福追求は阻害される傾向にあります。
子供が子供のままでいることが許されるのは、しばしば親自身が喜びや優しさを欠いているからです。SP2は、父親や母親との関係において、自身の子どもらしい魅力、愛されやすさ、理想化された部分を巧みに活用し、感情的に未熟な親の欠如を補おうとします。これにより、親はSP2の可愛らしさや優しさに魅了され、SP2は親からの愛情を得るという、相互依存的な関係が築かれるのです。
問題があることを口に出したり、態度に出したりしてはいけないという強い圧力を受け続けているSP2は、人生の暗い側面や粗雑な現実を直視することができません(これはSX9と共通する特徴です)。そのため、痛みや苦しみを感じないよう努め、物事を常に美化して捉えようとする傾向があります。
孤独や拒絶、愛されないことへの無意識的な恐れから、SP2は他者への奉仕を通じて自分が必要とされていると感じようとします。無意識のうちに、自分の関心とは無関係に他人の世話をしたり、手伝ったりすることに時間を費やしてしまいます。そして、そのような行動の結果、彼らは自分が特別扱いを受けるに値する存在だと信じるようになります。ナルシシズム的な傾向を持つすべてのタイプ2は、心の中で自分が王子やお姫様になったかのような幻想を抱き、周囲の人々が自分の素晴らしさに気づき、すべての願いがかなうおとぎ話を夢見ます。SP2は無垢な優しさを振りまくことで、人々を魅了します。
彼らは成長すると、努力をせずとも自分を幸せにしてくれる存在をパートナーに求めます。外見的には、女性の場合、丸みを帯びた体型で、若々しい「ロリータ」のような雰囲気を醸し出すことが多く見られます。化粧は控え目で、男性との関係においては、性的魅力をアピールしつつも、無邪気で純粋な少女のような振る舞いをします。SP2は自らを「永遠に若々しい存在」として周囲に印象付け、その純粋さや無垢さを通じて、周囲の人々にも童心に返ったような幸福感をもたらします。
SP2は順応性が高く、一見すると非常に柔軟な人物のように見えます。しかし、その柔軟性は、あくまで相手との関係を維持するための手段に過ぎません(この点ではタイプ9と混同されることがあります)。とはいえ、彼らの行動の根底には、責任を回避しようとする幼稚な迎合があり、この無責任さが表面的な柔軟さを凌駕する場面がしばしば見られます。
彼らは自分の「欲しいもの」(一時的な欲求)には非常に敏感ですが、成長や成熟に必要な「真のニーズ」を理解することができていません。これは、子供の頃に一時的な欲求は満たされていたものの、愛情に基づいた成長を促すケアが不足していたことが原因です。そのため、彼らは気まぐれな要求を繰り返す一方で、自分にとって本当に有益なものを求める方法を知らないのです。SP2は、タイプ2の中でも最も行動的で具体的なタイプですが、気まぐれな魅力を駆使して相手を操り、まるで小さな暴君のように振る舞うことがあります。また、フラストレーションに対して極端に弱く、批判を恐れる傾向があります。批判を受けると、自分の価値が全否定されたかのように感じてしまうのです。
SP2の最も破壊的な傾向は、「特別扱い」に対する執着心です。この執着心から、自分が特別な存在でいられない状況に耐えられず、新たな挑戦や成長の機会を避ける傾向があります。成功を恐れるのは、期待に応えられないことや、周囲からの特別な扱いを失うことへの不安が根底にあるからです。また、両親やパートナーといった自分を守ってくれる存在との関係を失うことへの恐れが強いため、SP2は自立をためらってしまいます。SP2にとって、自立することは、それまで享受してきた「特権」や「保護」を放棄することを意味するのです。
癒しを得るためには、自分にとって非常に受け入れがたい事実を認める必要があります。例えば、両親との特別な関係が自身の成長を妨げ、兄弟姉妹に嫉妬心を抱かせたという事実です。SP2は、嫉妬されることを非常に恐れています。両親は、SP2を他の兄弟姉妹よりも優遇し、家族内で特権的な地位を与えましたが、そのことに対してSP2は深い罪悪感を抱いています。また、大人になっても、その特別な地位を失うことへの不安は消えず、競争の中で誰かにその地位を奪われ、排除されるのではないかという恐れに苛まれています。
SP2の特徴として「距離を置く」という行動がしばしば見られます。つまり、自分の特権を守るために、競争や対立を避けるように他者との関係に距離を取ろうとするのです。
訳注
- ^ カウンタータイプ:3種類の生得本能のうち、各タイプの典型的な記述に当てはまらないサブタイプ。カウンタータイプは次の通り:
SX1(T4やT8との誤認が多い)
SP2(T4やT6との誤認が多い)
SP3(T1との誤認が多い)
SP4(T1, T3, SX6, T7との誤認が多い)
SX5(T4との誤認が多い)
SX6(T1, T3, SP4, SX4, T8との誤認が多い)
SO7(T2との誤認が多い)
SO8(T2, T6, T9との誤認が多い)
SO9(T2, T3, T6, T7との誤認が多い)